原価管理

生産数より製造原価に目を向けてみませんか?利益を伸ばすために重要な製造原価

製造業において、通常は損益の最大ウェートを占めているのが製造原価です。従って、この製造原価をいかに管理するかは、製造業の経営管理における最重要ポイントの一つのはずです。しかしながら、実に多くの製造業で、原価計算方法、原価管理手法やそれを支える仕組みが数十年前からほとんど変わっていないのが実態です。

前述の通り、製造原価は利益を左右するので、できる限り無駄を省くことが重要です。そのためには製造原価を細分化して、どこに費用がかかっているのかを把握しなければなりません。今回は製造原価について解説をしていきます。

 

製造原価とは?

製造原価とは製品を製造する際にかかった原価の合計です。製造業の場合、仕入れ・製作の製造活動と販売の営業活動がありますが、どちらの活動でもさまざまな原価が発生します。製造原価は製造活動で発生した費用をすべて合算したもので、原料や設備の費用、人件費などが含まれます。

 

なお、製造原価を算出する際は材料費・労務費・経費の3つに分類することで、どこに無駄な費用が発生していて、何を改善すべきかがわかります。例えば、材料費が増大しているなら、歩留まりが発生して製品を加工する際に必要なネジなどの部品が多く余っているかもしれません。労務費が増大している場合は、どこかの製造工程において人員過剰となっているかもしれません。このような分析ができ、製造原価を削減すれば利益の向上に結びつくので、製造原価を細分化して正しく計算することが重要といえます。

 

売上原価と違いとは?

売上原価とは、売れた商品の仕入れや製造にかかった原価のことです。主に小売業で使われる言葉で、仕入れ原価が該当します。重要なポイントは、売上原価は売れた商品に対して発生する原価であるということです。これは売れていないものも原価の対象とした場合、売上高から原価を差し引くとマイナスになることがあるからです。

 

製造原価の場合は、製造にかかった原価を合計して計算します。それに対して売上原価は、期首の在庫金額と当期仕入高を合計し、期末の在庫高を差し引いて求めます。このように売上原価と製造原価の違いは計算の対象が変わる点です。ただし、自社内で製造したものを売る場合は、製造原価も売上原価に含まれます。

 

製造原価の分類とは?

製造原価は、材料費・労務費・経費という3つの項目に分類されます。これらの項目に分けて計算することで、製造原価を下げるためにはどこに注力して改善すべきかが分かります。製造原価を計算する際は、この3つの原価を合計します。原価を抑えて利益を出すためにも、原価の種類を把握しておきましょう。

 

【材料費について】

材料費は、主に商品を製造するときに必要な材料や燃料の費用のことです。また、製造で使われる消耗品なども含まれます。

 

【労務費について】

労務費は、商品を製造している従業員の賃金などの費用です。基本給以外に、賞与や福利厚生費なども含まれます。

 

【経費について】

経費は、材料費や労務費に分類できないものを経費と呼びます。工場の賃貸料や水道・電気などの光熱費、使用している設備の原価償却費などです。

 

製造原価のもう一つの分類とは?

製造原価の別の分類方法として、製品に直接関わる費用と間接的に関わる費用を分ける方法があります。それぞれ製造直接費、製造間接費と呼び、材料費・労務費・経費の分類と掛け合わせて6種類に分けられます。

 

【製造直接費について】

製造直接費とは、その名の通り直接製品に関わっているコストを指し、製品を製造すればするほど発生する費用です。直接材料費・直接労務費・直接経費に分類できます。

 

  • 直接材料費

直接材料費とは製品に直接使われる材料費のことです。例えば、自動車の製造であれば鉄やアルミなどの材料や、部品を繋ぎとめるネジなどが該当します。

 

  • 直接労務費

直接労務費は製品の製造に直接関わり、実務作業を行った従業員の賃金などです。

 

  • 直接経費

直接製品の製造に関わった費用のうち、材料費と労務費以外の費用のことです。一部の製造工程を外注していれば、外注加工費も直接経費に含まれます。

 

【製造間接費について】

製造間接費とは、工場で生産されている製品と直接結びつかない費用のことで、製造直接費用とは違い把握しにくい部分があります。そのため、製造直接費と比較すると、可視化しづらく原価計算が複雑になる特性があります。

 

なお、間接費は生産量や機械の稼働時間などを基準にして配賦計算を行います。明確に何にどれくらいの費用がかかったのかを把握できないので直接費よりも改善が難しいかもしれませんが、システム化によってランニングコストを削減することは有効でしょう。

 

  • 間接材料費

どの製品に、どれだけ使ったか分からない材料のことを指し、具体的には潤滑油や塗料など明確な個数で表せられない材料などが該当します。また、間接材料費は3つに分類することができ、機材を動かすために使用する燃料や複数の製品に使用される塗料、包装材などが補助材料費、潤滑油などが工場消耗品、1年以内に取り替える工具や器具が消耗工具備品費に分類されます。

 

なお、どの材料が直接材料費に含まれてどの材料が間接材料費に含まれるかは明確に定められてはおらず、製品の仕様や企業の方針によって変わります。例えば、製品をパッキングするビニール袋は、他の製品にも使用されることを考慮すると間接材料費ですが、パッキングまで含めてひとつの製品とするなら直接材料費として考えることができます。

 

  • 間接労務費

製造業では、加工・組立作業などの実務をする従業者以外に、生産管理・生産技術など製品に直接関わっていない従業者に発生する給与が該当します。工場で製品を製造している時に、材料が無くなり作業が一時停止している時間も、作業員には給与が発生します。

 

また、待機時間に発生する給与も間接労務費に含まれるため、作業内容によって費用が分類されることもあります。

 

  • 間接経費

製品を作る時に使用される電力や工場設備の減価償却費や修繕費、製品に直接関わらず、特定の製品との関わりを明確にすることが難しい経費を指します。

 

間接経費はおおよその割合で計上する配賦計算を行うため、製品ごとにどれくらいかかったか、具体的にどうすれば削減できるかを管理するのが困難だとされています。削減を目指すには、デジタル化を進める、設備投資を行ってランニングコストを削減する、人材育成に力を入れて自主的に改善が行える現場を作るなどの方法があります。

 

製造原価の計算方法とは?

製造原価は、基本的には分類された6種類の費用を合計して求めます。しかし、企業では常にすべての製品が完成している状態ではありません。当然、まだ製造途中で未完成で仕掛け状態のものもあります。製造原価を計算するときは、このような仕掛け品を除外しなければなりません。

 

当期の製造原価を計算する際は、当期の総製造費用に期首の材料・仕掛品の棚卸高を加えます。最後に、期末の仕掛品や未使用の材料費などを差し引くことで求められます。

 

製造原価の計算をはじめ、原価管理の計算には正確性が求められます。さらに、計算後はそれらを分析する必要があります。Excelを使用している企業は少なくありませんが、専門的な知識が必要であったり、情報の抜け漏れやミスをチェックする工数がかかったりなどの課題があります。

 

こうした課題を解決し、効率よく原価管理を行うには、原価管理システムの導入がおすすめです。

 

原価管理システムの導入を検討してみましょう

原価管理はリスクを予想し、製品やサービスをユーザーに届けるための活動を支える役割をもっていますが、システムを導入することで原価管理に関わる業務の効率化が期待できます。

 

【システム導入をする理由】

原価管理で導き出された分析内容は、プロジェクトに関わるスタッフ全員に共有される必要があります。常に原価が変動している場合だと、最新の情報を口頭や書面で伝達するのは難しいので、システムを導入したほうがスタッフにも負担がかかりません。

 

システムでデータ化されているのであれば、帳票の表示や出力が簡単で、原価計算にも役立てられるというのも、システムを導入するメリットです。

 

【原価管理をシステム化するメリット】

原価管理に用いる計算式は複雑なため、Excelなどでの管理は容易ではありません。しかし原価管理システムの力を借りれば、データを入力するだけで簡単かつ正確な原価管理が可能です。

 

製品やサービスの原価を正確に把握し、適切な価格設定ができれば利益向上に繋がります。原価管理システムには計算が自動で行える以外にも業務の短縮や簡略化に貢献するさまざまな機能が搭載されているため、労務コスト削減にも繋がります。

 

クラウド型の原価管理システムの導入を検討してみましょう

適切な原価管理を行うことは企業の利益を生み出すことに繋がりますが、全てを手作業で行うには限界があります。前述の通り経営環境の変動が激しくなった現代においては、正確な原価管理を効率よく、かつ可及的速やかに行うことができるかどうかは、自社の経営に大きな影響を及ぼします。

 

また、こうした時代背景から、業種や企業規模に合わせたさまざまな原価管理システムが登場しています。変化の激しい時代における有効な生き残り戦略として、原価管理システムの導入は不可欠な要素となっています。

 

原価管理システムを検討するときには、業界に特化した機能や自社の業務にマッチした機能が搭載されているかなど、様々な視点で製品を選ぶ必要があります。

クラウド型生産管理システム「鉄人くん」は、わかりやすい画面と手厚いサポートで、システムが初めても企業でも使いやすくわかりやすいのが特徴です。

また、トライアルキャンペーンも実施していますので、生産管理システムの導入を検討してみたいとお考えの方は、こちらからお気軽にお問合せ・ご相談ください。

 

 

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