昨今、製造業においてDX化への関心が多く寄せられるようになってきました。DX化などといった最先端のものづくりに対応していくためにも、重要となってくるのが、製造業の基礎である製品情報の適正な管理です。製造した製品の管理はもちろんのこと、製造した製品管理と同じく重要な業務に部品の在庫管理があります。
今回は、製造業の部品・在庫管理で重要な「BOM(部品表)」とは?基礎知識について紹介します。
製造業の在庫管理
製造業の在庫は他業種よりも管理が複雑になります。在庫を適正に管理できなければ、製造工程や生産管理、品質管理においても問題が発生する可能性があります。
また、部品の在庫管理では、製品を製造する上で必要な部品や原材料を適正に仕入れられているかも重要です。
必要以上に仕入れてしまうと、新たな製品の工程に変更となった場合、従来必要であった部品の在庫が不要となる可能性がありますし、部品や原材料が欠品となってしまうと、生産工程が止ってしまい、納期までに製品が出来なくなり、損失にもつながります。
このように複雑化している製造業において、「BOM」(部品表)が重要となります。
「BOM(部品表)」とは?
BOM(部品表)とは、主に製造業で部品やユニットを管理するために使われる部品表のことで、Bill Of Materialsの略称で、「BOM」と呼ばれています。
BOM(部品表)は、一般的に、品目情報「PN(Parts Number)」と、それぞれの部品が何に使われるかの構成管理情報「PS(Parts Structure )」から構成され、製品を製造するのに必要な部品や原材料の数など、製造に関する情報を示す重要な表です。
製品の設計、在庫管理、部品の仕入れや製造工程、サービスなど、製造業のさまざまな部門で活用されています。
各部門により必要とする情報が違うため、在庫管理方法や、用途によってBOM(部品表)の種類が違ってきます。
在庫管理方法による「BOM(部品表)」の種類
BOM(部品表)の種類には、在庫管理の方法によって「サマリー型」と「ストラクチャー型」があります。
例えば、完成品Aを製造するに、中間製品B(1個)と部品C(5個)で、中間製品Bを製造するのに必要な部品が、部品C(3個)と部品D(2個)の場合
「サマリー型」は、完成品Aを製造するのに、部品Cが8個必要となるので、部品Cが8個と、製品完成までの合計個数を登録するのに対し、「ストラクチャー型」は、製品Bに必要な部品Cが3個・部品Dが2個と入力し、完成品Aで必要な部品の中間製品Bが1個・部品Cが5個と、それぞれの工程ごとに必要な個数を登録します。
「サマリー型」
サマリー型は、部品・原材料の個数を示す方法で、フラット階層や一覧形式とも呼ばれています。
仕様の変更や追加工程が発生した際にも対応しやすく、部品の仕入れにも活用される管理方法です。
「ストラクチャー型」
ストラクチャー型は、製品完成までに必要な部品・原材料を中間工程ごとに入力する方法で、構造型とも呼ばれています。
製品完成までに必要な工程に沿って必要な部品が記載されるため、膨大な中間工程がある場合や、継続的な受注生産に対応しやすく、工数やリードタイムの計算が行いやすい管理方法です。
用途による「BOM(部品表)」種類
BOM(部品表)は、業種別の在庫管理方法によって種類が分かれていますが、さらに用途によって「E-BOM」「M-BOM」「S-BOM」「購買BOM」「サービスBOM」の種類に分けられます。
「E-BOM」(設計部品表)
E-BOM(設計部品表)は、部品や仕様、設計情報、技術情報などを表示します。
部品やモジュールの詳細情報など細かい情報をまとめた部品表で、開発や設計段階で利用します。
「M-BOM」(製造部品表)
M-BOM(製造部品表)は、製品の組立に必要な部品をリスト表示します。
加工・組立・外注などの製造過程で必要な部品・資材情報と工程情報を表し、生産スケジュールや生産指示、工程管理、部品の仕入れなどの製造部門で利用します。
「S-BOM」(販売部品表)
S-BOM(販売部品表)は、製品を販売するのに利用される部品表です。販売支援システムと連携することも可能です。
「購買BOM」
購買BOMは、購入単位数量や仕入先ごとの購入価格リストなど、見積・発注作業に必要な情報をリスト化します。購買部門で使用する部品表です。
「サービスBOM」
サービスBOMは、メンテナンスに必要な部品をリスト化します。製品サービスや保守メンテナンスに利用します。
部品・在庫管理に最適なBOMシステムとは?
BOMシステムとは、製品の製造に必要な部品の情報BOM(部品表)を効率的に管理し、さまざまな部門で適切な情報を提供するシステムのことです。
昨今の製造業では、製造工程がどんどん複雑になり、効率的な部品・在庫の管理が求められています。
多くの企業では、BOM(部品表)を紙やExcelで管理したり、図面に埋め込んで管理してきましたが、各部門の部品表を統一するのが困難、アップデートに手間がかかる、入力ミス、設計の変更が反映されない、情報を検索するのに時間がかかるなどの課題があるのが現状です。
部品表を効率的に管理するには、従来の紙での管理ではなくシステムでの管理が最適です。
BOMシステムを活用することで、各部門のデータを統合し可視化できるようになり、企業間で迅速に情報を共有することができるようになります。
まとめ
今回は「製造業の部品・在庫管理で重要なBOM(部品表)とは?」について紹介しました。
製造業において、部品・在庫管理は、非常に重要な業務だといえます。部品在庫管理が適正に行われない企業は、過剰在庫や在庫不足による機会損失により、顧客の信頼を失う可能性もでてきます。BOM(部品表)を最適化し、企業間での情報共有が可能となれば、より効率的に管理することができる上に、企業の利益の最大化にもつながります。
ぜひ参考にしてみてください。