生産管理システムのメリットは中小企業にも|デジタル化で時代をとらえよう

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生産管理システムのメリットは中小企業にも|デジタル化で時代をとらえよう

いまや大企業では生産管理システムの導入はあたりまえ。
工場はシステム化され、キツイ・キタナイ・キケンという製造業のイメージは払拭されてきています。

中小企業にも波及して、徐々に生産管理システムを取り入れるところが増えました。クラウドを利用した導入費用の少ない製品が発売され、コストの壁も低くなってきているのです。

2022年3月に経済産業省では、デジタルトランスフォーメーションで優秀な中小の企業をDXセレクションとして発表しました。

この記事では、選ばれた企業のうち、生産管理のシステム化をもとにした優良事例を例にとり、中小製造業で生産管理システムを導入するメリットを探ってみます。

生産管理システムとは

生産管理システムは、製造業の根幹である生産を管理するシステムです。

製造業は製品を製造し利益を上げていくので、生産をシステム化し、無駄を少なくすることで利益をあげることができます。
ここで言う無駄とは、以下に分けられます。

  1. 不良品……メンテナンス不足、点検不足により不良品が作られる
  2. 作りすぎ……必要ないものを作って、最悪廃棄となる
  3. 手待ち……次の作業まで時間が空く
  4. 活用されない人材……役に立っていない人がいる
  5. 動線……人や物が余計な距離動く
  6. 在庫……必要以上に在庫を持つ
  7. 不必要に高度な性能……使わない性能をもつ機械を使っている
  8. 動作……しなくてもいい作業をしている

生産は、生産計画や原材料の手配・準備・切り替え・製造・検査・実績入力など多岐にわたります。それらは、相互に関係しているので無駄が出やすいものです。
そこで、大切なのはシステム化。製造業では、需要と供給のバランスを見極め、最大の利益を目指すことが重要になります。

生産管理システムは、必要な材料の手配・在庫管理・工程指示・工程進捗管理・製造指示・製造実績管理など、各工程にマッチさせシステム化します。
そのうえで、各工程のシステムを効率的に連携させ、総合的に管理するのです。

生産管理システムは、すでに多くの企業に採用されています。資金に余裕のない企業にとっては初期費用の高さがネックとなっていましたが、現在では初期費用が安いクラウド型の製品も多く発売され、導入しやすい環境が整ってきています。

広がる生産管理システム

​2021年におこなった全国の企業経営者・経営幹部・管理部門の10,184名を対象に実施した「基幹系システムの導入・活用に関する企業アンケート」によると、生産管理システムを導入している企業は24.5%でした(※)。

※株式会社タナベ経営(本社:大阪市淀川区・東京都千代田区、代表取締役社長:若松 孝彦)実施。

日本の全企業数のうち99.7%は中小企業であることから、大企業だけでなく中小企業でも生産管理システムの導入が進んでいるとわかります。

進化する生産管理システム

生産管理システムは進化しています。

例えば、生産機器すべてについて稼働状況をデータ化し、生産効率を向上させる取り組みがオムロンの草津工場で始まっています。
同工場では、この取り組みによって、2013年と比べ1時間当たり7%の増産に成功しました。同社によると、これは品質などに発生するトラブルを常にデータ化した成果で、迅速にトラブルの原因に到達できたためだとされます。
オムロンでは、これからもシステムを見直し、2~3割の生産性を向上させる予定だということです。

また、GEでは産業機器をネットに接続することで同時性のあるデータ分析を可能にし、生産効率を向上させようとしています。

今後、生産管理システムは技術革新が進むとされる市場です。より必要とされるにしたがって、参入企業が増えていくと見込まれています。

IOT(アイ・オー・ティー)とは

昨今、デジタル技術が社会を変革してきています。2000年代にはユビキタスという言葉がもてはやされていましたが、現在は、もっと前進してIOT(アイ・オー・ティー)という概念が多く使われるようになりました。

しかし、IOTの意味を、はっきり説明できる人は多くありません。ここで、あらためてIOTについて説明しましょう。

IOTの意味とは

IOTは、”Internet of Things”の略称です。つまり、「モノのインターネット」という意味で、インターネットを介してモノの状態を情報化し、管理するという意味を持ちます。

生産管理システムとIOTの関係は?

生産管理システムのうちでも、クラウド型のものはインターネットを介してモノの状態を情報化して管理します。つまり、クラウド化された生産管理システムは、IOTのひとつということができます。

インターネット環境上にあるクラウドの生産管理システムは、より精度の高い管理を進めるために不可欠になってくると考えられます。製造業にもIOTの波が押し寄せています。

DXセレクションとは

DXセレクションを知っていますか?

経済産業省は、いままで、デジタル技術による社会変革を踏まえた経営ビジョンの策定・公表といった、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向け、経営者に求められる対応を「デジタルガバナンス・コード」として取りまとめ発信してきました。その取り組みの一環として、優良な中堅・中小企業等の事例を選定し公開するのがDXセレクションです。
また、これはSDGsの「8:働きがいも経済成長も」「9:産業と技術革新の基礎をつくろう」にも合致する取り組みです。
DXセレクションは2022年から開始され、3月には第1回目のセレクションと表彰が行われました。表彰された16社のうち、生産管理システムについて取り組みを実施していた企業は2社です。

中小企業が生産管理システムをどう利用し、デジタル化を進めているのかを示す例として、ここで紹介します。

DXセレクション2022を公表しました! (METI/経済産業省)

生産管理システム取り組み企業①

■DXセレクション2022準グランプリ

株式会社日東電機製作所(推薦 群馬県IoT・AI推進研究会)【法人番号 3070001019906】

取り組みの目的

  • 生産性向上による競争力強化
  • データを活用した付加価値拡大
  • 差別化による企業価値向上

具体的事例

日東電機製作所では、30年以上前から経営管理システムである「NT-MOL」を自社開発し、製造工程の見える化を共有。生産管理システムとしては、3D -CADと電気回路CADをあわせて3D配線の長さの測定を可能にしたり、加工機のオンライン接続することで板金加工を半自動化したりしています。このことにより、製品の高付加価値化が実現しました。
また、社長を伴走者とする開発チームを編成し、問題点が見えやすい体制を構築しています。社員の潜在能力を引き出し取り組みも活発で、自社で電線加工プロセスのロボット化や社内申請業務をアプリとして開発するなど実績をあげています。

生産管理システム取り組み企業②

■DXセレクション2022

株式会社藤田ワークス(推薦 鹿児島県IoT推進ラボ)【法人番号 3340001007362】

具体的事例

藤田ワークスでは、IT活用を深化させ、地球上どこでも仕事、意思決定ができる環境整備を行い、業務効率向上の取り組みを幅広く発信しています。
また、生産管理をシステム化し見える化に取り組み、現場意思決定(臨機応変)に注力したOODAループの取り組みをダッシュボード化しました。
地元7社のモノづくり集団であるMETALISMの一翼を担い、付加価値を創造し、発信しています。

※OODAとは:Observe(観察)・観察(Observe)・Orient(状況判断)・Decide(意思決定)、Act(実行)を連続的、反復的に行う現場の意思決定手法。

DXセレクション企業の共通点

生産管理のシステム化を含んだIOTでDXセレクションに選定された企業を紹介しました。両社の取り組みの共通点は「生産を管理することによりDXがはじまること」です。
どちらの事例を見ても、生産管理のシステム化により、製品に付加価値を与え、改善にスピード感を持たせることができています。
そしてそのことによりDX、デジタルトランスフォーメーションへの第一歩を踏み出しているのです。

製造業の革新は生産管理のシステム化からはじまる

製造業の革新は生産管理をシステム化することで始まります。理由をあげるとすれば以下の5点になるでしょう。

  • システム化で見える化できる
  • 見える化できれば改善点がわかる
  • 改善点がわかれば、効率アップができる
  • 効率アップを繰り返し、新しいものができる

システム化で見える化できる

システム化の入り口にあるのは「見える化」です。そもそも見える化が前提になければ、システム化はできません。そのうえでシステム化すれば、いっそう見える化がすすみます。

なんとなくイメージとして感じていたことが、見える化によって数値化されたり、図表化されたりと改善の足掛かりができるのです。

見える化できれば改善点がわかる

見える化を進めれば改善の足掛かりができます。論理的に無駄を探せますし、数値目標を設定することもできます。

改善点がわかれば、効率アップができる

もやもやとしたイメージでしかない無駄は減らす手法にたどり着きにくいものですが、論理的な無駄は解消できます。数値目標ができれば努力がみえてきます。目標に向かって、小さくても論理的に無駄をつぶしていけば、結局大きな無駄を減らすことが可能になります。

効率アップを繰り返し、新しいものができる

効率アップが日常的になってくると、視点が変化してきます。その中から新しいものができてくるのです。革新は一足飛びには訪れません。

どんな革新的な取り組みであっても、最初は小さな工程のシステム化から始まります。

つまり、製造業にとってシステム化は革新への道の入り口であり、品質向上やコスト削減、差別化へつながります。
そして、それは大企業であっでも中小企業であっても同じであり、むしろ中小企業のほうが、フットワークが軽く、改善につながりやすいと推察できます。

中小企業こそ、いま生産管理システムのメリットが大きい

生産管理システムとその進化、進化を始めている事例を紹介しました。
いま、時代はIOTと言われています。生産管理システムのIOTも進んできています。導入費用は安価になってきています。
製造業の革新は生産管理システムから始まります。すでに導入のメリットを感じている企業も多く、それは中小企業にも波及してきています。むしろフットワークの軽い中小企業こそ、デジタル化のメリットが大きいと考えられるのです。
中小企業が、生産管理システムからデジタル化を進めるのであれば、いまが好機といえるでしょう。

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