モノとモノを締結するのに、ボルトやナットがありますが、外すことも容易であるため、金属板同士の結合には、溶接などが用いられています。溶接は、技術も必要なため、手軽に行えませんが、溶接に比べて簡単に強い接合ができ、作業効率がよくなったり、片側からの作業で使用するため、手が入らない所でも締結できる方法があります。
今回は、主にシャッターやサッシなどの住宅建材や輸送機器・電子機器・一般機器で締結されている「ブラインドリベット」について紹介します。
ブラインドリベットとは
ブラインドリベットとは、ボディーに、はみ出すように出っ張ったつばのような形状のフランジがついたボディ(フランジ)部分に、芯棒のマンドレル(シャフト)部分が合わさった構成で、マンドレル部分をリベッターと呼ばれる専用の工具で引き上げることで、ボディ部分が変形し、締結することができます。
片側からの作業で締結できるため、手が入らない所でも使用でき、誰でも簡単に素早くリベット打ちができるのが特徴で、熱に弱く溶接できない所でも使用でき、ねじとは異なり、振動でのゆるみがなく、半永久的に強い強度の締結が可能です。
ブラインドリベットの使い方
締結したい部材に、下穴をあけ、ブラインドリベットを下穴にセットします。マンドレル(シャフト)にリベッターを差し込み、リベッターを操作します。ブラインドリベットがかしめられると、マンドレル(シャフト)が切断され、部材が締結されます。
ブラインドリベットの一般的な規格表示
ブラインドリベットの規格表示は、「材質を表すアルファベット」「リベット径」「カシメ板厚」の順で表示されるのが一般的です。
例えば、〇〇43と表示されている場合
「材質を表すアルファベット」(〇〇)
表記方法は、メーカーごとに違いますので注意が必要です。
「リベット径」(4)
締結したい部材の穴をあけた箇所に挿入するボディ部分の太さで、インチサイズになります。分母の32が省略されて表示されています。この場合の実寸は、4/32インチ=4×32×25.4=約3.2㎜になります。
「カシメ板厚」(3)
ブラインドリベット本体の寸法ではなく、締結したい部材の厚さで、インチサイズになります。分母の16が省略されて表示されています。この場合の実寸は、3/16インチ=3×16×25.4=約4.8㎜になります。
ねじを使用する際には、ねじ軸部分の長さが重要ですが、ブラインドリベットは、実作業において、ボディの先端からフリンジ部分までの長さ(L寸法)は影響がなく、カシメ板厚が重要なため、このような表示になっているようです。
ミリ単位へのかんたん実寸計算方法
「リベット径」「最大カシメ厚」「カシメ範囲」「フランジ径(ツバ形状部分)」「下穴径」を簡単にミリ(㎜)単位に換算する方法があります。
- 「リベット径」を示す数字(2桁以上の数字なら、最初の数字)を8倍
- 「最大カシメ板厚」を示す数字(2桁以上の数字なら、後ろの数字)を16倍
- 「カシメ範囲」通常の板厚が1.6㎜なため、最大カシメ板厚のミリ単位から1.6を引くと、最小の範囲がでます。
- 「フランジ径(ツバ形状部分)」リベット径のミリ単位を2倍
- 「下穴径」リベット径のミリ単位に、プラス0.1㎜~0.2㎜
例えば、先ほどの、〇〇43と表示されている場合にあてはめてみると
- 「リベット径」4×8=32 小数点をつけると、3.2㎜
- 「最大カシメ板厚」3×16=48 小数点をつけると、4.8㎜
- 「カシメ範囲」4.8㎜-1.6=3.2㎜
- 「フランジ径」3.2㎜×2=6.4㎜
- 「下穴径」3.2㎜+0.1~0.2=3.3㎜~3.4㎜
まとめ
今回は「ブラインドリベット」について紹介しました。
ブラインドリベットは、ねじの締結のように緩まず、溶接のように熱が発生しないため、締結したい部材が熱に弱くても使用でき、下穴をあける必要はありますが、特殊な技術がなくても強度な締結ができるので、現場での作業効率が良くなります。
また、半永久的に締結できるブラインドリベットですが、ドリルでリベットの頭を削っていくことで、外すことができます。この際に、締結していた部材に傷がつかなければ、再利用することも可能です。
規格サイズも豊富にあるので、ブラインドリベットの材質や形状、ブラインドリベットの径を確認し、選ぶ必要があります。ぜひ参考にしてみてください。