小ねじやボルトなどを締め付ける際に、座面と締め付け部分との間に挟んで使用する薄い金属板を座金(ざがね)、ワッシャーと呼ばれています。この座金が、あらかじめ、ねじに組み込まれていて、作業効率がよくなるねじがあります。
今回は、主に電化製品でよく使われている「組み込みねじ」について紹介します。
組み込みねじとは
組み込みねじは、小ねじやボルトなどに、あらかじめ、ねじが緩むのを防止したり、締め付けの圧力で接合部分の座面が陥没するのを防ぐために使われる座金を、ねじに組み込んだものです。
ねじ山を加工する前に座金を組み込むので、ねじの締め付け時に座金を挟む作業が不要となり、座金を落としたり、座金の挟み忘れや、ねじに対して座金が足りないなどといった事がなくなり、作業効率を上げることができます。
組み込みねじの種類
組み込みねじの種類は、座金(ワッシャー=W)の組み合わせによるので、いろいろな種類があります。
P=1
P=1とは、JIS規格の「平座金(JIS平W)」が1個組み込まれたねじです。
P=2
P=2とは、平座金の一部がねじれた形状に切り込まれていて、座面が食い込み、ねじが緩むのを防止する効果のある「バネ座金(SW)」が1個組み込まれたねじです。
P=3
P=3とは、JIS規格の「平座金(JIS平W)」と「バネ座金(SW)」が1個づつ組み込まれたねじです。
PK=1
PK=1とは、JIS規格の「小形平座金(JIS小形平W)」が1個組み込まれたねじです。
P=4
P=4とは、JIS規格の「小形平座金(小形平W)」と「バネ座金(SW)」が1個づつ組み込まれたねじです。
I=1
I=1とは、IOS規格の「平座金(IOS平W)」が1個組み込まれたねじです。
IK=1
IK=1とは、IOS規格の「小形平座金(IOS小形平W)」が1個組み込まれたねじです。
I=3
I=3とは、IOS規格の「平座金(IOS平W)」と「バネ座金(SW)」が1個づつ組み込まれたねじです。
I=4
I=4とは、IOS規格の「小形平座金(IOS小形平W)」と「バネ座金(SW)」が1個づつ組み込まれたねじです。
SP=2
SP=2とは、平座金が波形状になっていて、ねじが緩むのを防止し、ばね座金よりもガタつきが小さい「スパック座金(SP)」が1個組み込まれたねじです。
SP=3
SP=3とは、「スパック座金(SP)」と、JIS規格の「平座金(JIS平W)」が1個づつ組み込まれたねじです。
LO=2
LO=2とは、座金の外側に突起がついている「外歯座金」が1個組み込まれたねじです。
LI=2
LI=2とは、座金の内側に突起がついている「内歯座金」が1個組み込まれたねじです。
この種類の呼び方の、
PはPiece(部材)、
IはIOS、Kは小形、
LOはLockOut、
LIは、LockInside、
SはSpakと、
それぞれの特徴から付けられているので、覚えておくとわかりやすいですね。
まとめ
今回は「組み込みねじ」について紹介しました。
座金を1個だけ組み込んだものをシングルセムス、2個組み込んだものをダブルセムスとも呼ばれています。
組み込みねじは、座金の種類と組み合わせにより、いろいろな種類があるので、目的に応じた種類を選び、ねじ径や、ねじ軸部分の長さなどを選ぶ必要があります。
座金があらかじめ組み込まれているため、座金の在庫管理もいらなくなり、座金の取り付け忘れや、落としたりすることもなく、現場での作業効率が良くなります。
ぜひ参考にしてみてください。