ねじの頭部がボタンのように丸い形状になっていて、ねじの締め付け後にねじが露出していても引っかかりがなく安全で、かつ、ねじに六角穴が付いているため、ドライバーを使うスペースがない場所でも、強い締め付けが可能なねじがあります。
今回は、主に、機械や電気部品、子供の遊具やフェンスなどの人が触れる可能性のあるところや、自動車やバイクまで幅広く使われている「ボタンCAP(ボタンキャップ)」について紹介します。
ボタンCAPとは
ボタンCAPは、ボルトの頭部がボタンのように丸みを帯びた形状で、六角の穴があいているのが特徴で、日本産業規格(JIS)では、六角穴付きボタンボルトとよばれています。
同じ六角穴付きの「ボルト」よりも、ボタンCAP(六角穴付き「ボタンボルト」)の方が、頭部の高さは低く、幅は広くなっているので、座面の接地面積が大きくなり、ねじが緩みにくいです。
ボタンCAPは六角穴なので、十字穴のねじでよくあるねじ穴が潰れることも少なく、六角レンチ(六角棒スパナ)でねじ締めをする為、強く締める必要がある場所やドライバーが使用できないような場所にも使用することができます。
ボタンCAPの規格
ボタンCAPには、2つの規格があり、先に運用されていた日本ソケットスクリュー工業協同組合(SSS)の「3S規格」と、後からISOに準じて制定された「JIS規格」があります。
3S規格のメーカーには、東工舎金属製作所、互省製作所、極東製作所。
JIS規格のメーカーには、日産ネジ、アンスコ、アルプス精工があります。
この2つの規格の寸法を、頭部直径(D)頭部の高さ(H)六角の二面幅(B)六角穴の深さ(m)で表し、比較してみます。
3S規格とJIS規格の比較
M3(0.5ピッチ)
「3S規格」 (D)5.5、(H)2、(B)2、(m)1.4
「JIS規格」 (D)5.7、(H)1.65、(B)2、(m)1.04
M4(0.7ピッチ)
「3S規格」 (D)7.5、(H)2.6、(B)2.5、(m)1.8
「JIS規格」 (D)7.6、(H)2.2、(B)2.5、(m)1.3
M5(0.8ピッチ)
「3S規格」 (D)9.5、(H)3.4、(B)3、(m)2.4
「JIS規格」 (D)9.5、(H)2.75、(B)3、(m)1.56
M6(1.0ピッチ)
「3S規格」 (D)10.5、(H)4、(B)4、(m)2.8
「JIS規格」 (D)10.5、(H)3.3、(B)4、(m)2.08
M8(1.25ピッチ)
「3S規格」 (D)14、(H)5、(B)5、(m)3.5
「JIS規格」 (D)14、(H)4.4、(B)5、(m)2.6
M10(1.5ピッチ)
「3S規格」 (D)18、(H)6、(B)6、(m)4.2
「JIS規格」 (D)17.5、(H)5.5、(B)6、(m)3.12
M12(1.75ピッチ)
「3S規格」 (D)21、(H)7、(B)8、(m)4.9
「JIS規格」 (D)21、(H)6.6、(B)8、(m)4.16
M16(2.0ピッチ)
「3S規格」 (D)28、(H)8.5、(B)10、(m)6
「JIS規格」 (D)28、(H)8.8、(B)10、(m)5.2
3S規格とJIS規格の2つの規格の大きな違いは、頭部の形状で、基本的に「3S規格」の方が頭部の高さが高くなっています。
まとめ
今回は「ボタンCAP」について紹介しました。
ボタンCAPは、ねじの頭部がボタンのように丸く安全で、ねじ穴が六角のため、省スペースでも強い締め付けができるので、さまざまな場所で使えますね。
「3S規格」のボタンCAPの方が、基本的には、頭部の高さ(H)が高くなっていますが、M16だけは、JIS規格の方が高いので選ぶときには、注意が必要です。
また、ボタンCAP(六角穴付き「ボタンボルト」)は、六角穴付「ボルト」より、六角穴の幅が小さいので、M3やM4などの径の呼び方は同じですが、使用する六角レンチのサイズが違ってきますので、注意が必要です。
ぜひ参考にしてみてください。