生産管理システムを選ぶとき、何を基準にすればいいのでしょうか?
製造業では、生産管理システムを導入すれば、生産に関わる業務を効率的に管理できるというイメージがあります。しかし、導入システムを決めようとしても、なかなかうまくはいきません。2022年5月の時点で、市場に提供されている生産管理システムは100以上あり、それぞれ自社の得意なところを強調したセールスを展開しているのです。
実は、失敗しない生産管理システム選びのポイントは、システムを見比べる前に、まず自社ニーズを見定めることにあります。ここでは、ステップごとの注意点を紹介しましょう。
生産管理システムでできること
生産管理システムは、作業指示から出荷までの生産工程すべての作業をシステム化します。
例えば、生産管理システム鉄人くんでは、7つのシステム化で生産をサポートします。
・生産管理システム鉄人くんで実施できる項目
- 工程・進捗管理
- 納期管理
- 図面管理
- 外注管理システム
- 自社管理システム
- 半製品管理
- 製作依頼書
生産管理システム鉄人くんでは、生産管理のほかにも販売管理として、在庫管理システム、請求書管理、履歴管理、受注・仕入管理、マスター管理、売上管理、納品書・ラベルもシステム化され、受注から生産に関わる全てが網羅できるように設計されています。
生産管理システムの種類
生産管理システムには、先にあげた鉄人くん以外にも、多くのシステムが存在します。2022年4月の時点で100種類以上が市場に出回っているということです。それぞれが得意な項目を前面に出しており、選択するだけでも消耗する状況です。シンプルな選択ができるようにシステムを分類し、それぞれの長所と短所をご紹介しましょう。
提供企業による分類
・システムメーカー
例:アラジン、CMC Solutions、大塚商会など
システムメーカーの長所は、 様々なシステムの実績が多数持っていることです。システムづくりを本業にしているのでスマートなデザインで、ニーズにあわせてカスタマイズできことがおおいでしょう。クラウド管理などシステムの構築全般に強みをもっています。
短所をあげれば、カスタマイズの内容によって価格には大きな幅があります。ニーズにあわせて見積もりを依頼するまで、実際の価格はわかりません。製品の専門性にあわせたニッチなニーズには弱い面を持ちます。
・総合電機メーカー
例:NEC、日立、SONYなど
総合電機メーカーの長所は誰でも知っていることです。新興メーカーと違って、安心して採用できるでしょう。製品の総合力が高く、電機メーカーとして積み上げたノウハウを発揮します。デザイナーによる洗練されたデザインを採用していることが多く、大企業への導入実績も多い傾向があります。
短所をあげれば、細かい設定は後付けでカスタマイズするオーダーメイド方式なので、比較的高価格なこと。また生産管理システムが企業の大きな柱になっていないので、対応が比較的ゆっくりになるようです。
・特化型メーカー
例:鉄人くん、TECHシリーズ、実績班長など
製造業専門など、対応職種を狭く設定してあるシステムです。長所は、カスタマイズなしでも専門性が高くなっているため比較的安価に導入できることです。ぴったりのシステムを導入すれば、カスタマイズなしで、細かいニーズをすくいあげてくれます。
例にあげたシステムは、製造業対応として売られていますが、それぞれ得意分野が違います。短所をあげれば、ニーズに合わなければ使えないことです。自社のニーズを、それぞれの細かい仕様に落とし込み選定する必要があります。
・海外メーカー
例:EVO、ACTYSYSTEMなど
海外メーカーは、グローバルスタンダードを意識しシステムが構築されています。日本のメーカーにない合理的ノウハウを利用できるのが長所です。おしゃれなデザインのことも多いのも見逃せません。
ただ、ユーザーサポートも海外流であることが多く、日本のメーカーのようなきめ細かな対応とはならない場合もあると聞きます。いまや日本は海外メーカーにとってメインユーザーではありません。これは短所と言えるでしょう。導入コストは比較的高めのことが多いようです。
提供システムによる分類
クラウド型かオンプレミス型か
システムに慣れていなければ、クラウドやオンプレミスという言葉自体になじみがないかもしれません。
クラウドは、インターネットを介するクラウド環境とデータをやりとりして使用する方式、オンプレミスは自社にデータ置き場のハードを設置して使用する方式です。
理論的か直感的か
生産管理システムの操作が、理論的に構築されている場合と、直感的に構築されている場合があります。どちらにも利点がありますので、使用するメンバーが取り組みやすい構築方法を選択するといいでしょう。
有料か無料か
・生産管理システムには無料で提供されているものもあります。機能はいろいろですが、有料と無料の違いは、保証とサポートの違いといえます。つまりコストをかけて安心を買うのです。有料であれば不具合発生のたびに保守が行われ、必要であればアップデートされます。困った時にはサポートも用意されています。
生産管理システムは、ずっと使っていくことを前提としていますので、有料のほうがおすすめです。
無料版は有料版のお試しという性格もあります。お試しとして無料版を使用してもらい、機能が足りなくなったら有料版にアップグレードさせるのです。有料版の生産管理システムにはお試し利用がサービスとしてついている場合も多いのですが、それと同様と考えられます。
生産管理システムで気になるポイント
・セキュリティ
従来、クラウドはセキュリティに不安があると言われてきました。しかし、専門メーカーによる高度なセキュリティ対策によって、最近では解消されてきています。
オンプレミスも万全ではありません。自社が災害にあった場合には、バックアップごとデータを紛失するリスクをはらんでいます。
・コスト
カスタマイズなしで使用できるシステムであれば、クラウド型の導入コストは、ごく安くてすみます。カスタマイズを実施すれば、クラウド型でも数十万円~数百万円の導入コストがかかる場合もあります。オンプレミス型は一般的に導入コストの高い製品が多いようです。どちらにしても、何をカスタマイズしたいのかで必要なコストが変化します。
クラウド型は、メーカー側でクラウドを管理しますので、ランニングコストが必要です。
・アップデート
クラウド型であれば、システムのアップデートはメーカー側で行われます。オンプレミス型であれば、アップデートの情報を確認する必要があり、自社のアップデートまでにタイムラグが発生する場合もあります。
・多拠点性能
多拠点を持つ製造所であれば、クラウド型をおすすめします。それぞれの生産状況や在庫を把握して製造指図を的確に出せ、無駄の削減につながります。
・スピード
昔は、クラウド型といえば、スピードが遅いものでした。現在では、スピードの差は、ほとんど気にならない程度に改善されています。
ニーズ把握のチェックポイントとは
生産管理システムを選択するためには、まず自社のニーズを把握することが大切です。チェックポイントとして以下のような項目を考慮する必要があります。
- 既存システムの有無
既存システムがある場合は、システムの流れが大きく変わらないようにすると担当者が混乱せずにすみます。
- ゾーン分けの有無
医薬品などには細かいゾーン区分が設定されていて、出入りに時間がかかります。そういう場合であれば、端末は複数あった方が使いやすいでしょう。端末の数で費用が変化するシステムよりも、端末の数が無制限のシステムを採用する方が、コストは安いはずです。
- 多生産拠点の有無
多生産拠点を持つ製造業では、クラウド型がおすすめです。他工場の状況を把握することで無駄を削減し、効率をアップできます。
- 海外生産拠点の有無
海外の生産拠点がある場合は、使用言語に注意しましょう。多言語対応のシステムを選ぶことで、考え方をそろえられます。
- 作業者
いつも同じ人が使用するのであれば複雑なシステムでも対応できるでしょうが、入れ替わりの激しい職場の場合は、単純で間違いにくさが必要です。マニュアルが整備されていることも、大事な選択項目となります。
- コンプライアンスに合致させられるか
社内コンプライアンスによっては、クラウド型は使えない場合があります。社内コンプライアンスの規定を確認しましょう。
- 予算の有無
予算が、あまり取れないのであれば、初期費用の少ないクラウド型を選択するのがおすすめです。
失敗しない生産管理システム導入のステップとは
生産管理システムは、製造にかかわるすべての人が使用するシステムです。突然、よく分からないシステムを使わなければならなくなる従業員には、相当のストレスがかかります。それは生産性の低下につながりかねません。
できるだけ無理のないステップを踏んで、生産管理システム導入後に垂直立ち上げとなるよう準備しましょう。また、早いうちに作業者の違和感をできるだけ解消することで、より効率の良い生産管理が実施できます。
Step1:聞き取り
・欲しい機能をブレインストーミングの形式でなんでもあげてもらいます。どんな意見でも、否定してはいけません。こうすることで生産管理システムを導入しようと思っていることを伝える。
・「すべてはかなえられないけれど、よりよいもの」を選択したい思いを伝えておく。
Step2:選定
・混乱を避けるために、具体的な選定は少人数で行ったほうがスムーズです。
Step3:選定後
・メーカーが決定したら、メーカーのしてくれることと自社ですることを明確にする。
・実働までのロードマップを作成し、関係者に周知しておく。
・説明会を開く
Step4:導入後
・発生した問題をリスト化しておく。
・導入1日目、1週間、1ヶ月など、定期的に聞き取り調査を行い、メーカーに展開し、解決できる問題は解決する。
自社にあった生産管理システムを選んで、生産効率をアップさせよう
生産管理システムは、作業指示から出荷までの生産工程すべてにまつわる作業をシステム化します。自社にピッタリのものを選定するためには、販売されている生産管理システムの長所と短所を知り、自社のニーズとすり合わせることが大切です。多角的な視点でニーズを把握すると、結果的に後悔の少ない選択ができます。
生産管理システムを導入するのは、製造業にとっては大きな出来事です。できるだけストレスをかけずすすめましょう。より効率をアップさせる生産管理システムを導入できるよう、各ステップを丁寧に進めましょう。
クラウド型生産管理システム「鉄人くん」は、生産管理システムに慣れていない人にも、わかりやすい画面を提供しています。24時間365日の手厚いサポートもあり、初めてシステムを導入する際におこりやすい小さな疑問も解決しながら運用でき、導入のストレスが少ないのが特徴です。
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