DXリテラシーというカタカナ語に苦手意識がある方向けの解説
DXリテラシーという言葉が近年使われるようになりました。最近は横文字の言葉が乱立し、苦手意識がある方もいるでしょう。DXもリテラシーも、よくわからないカタカナ語の最たるものです。実は、なにがなんだかわからないという方も多いのではないのでしょうか?ここでは、今さら聞きにくい言葉の意味から説明していきます。もちろん、DXリテラシーという言葉の意味は、充分わかっているという方は、飛ばしてくださってかまいません。
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リテラシーとは知識と能力
リテラシーの語源は「literacy」で、言語を読み書きする能力を意味します。
日本でリテラシーというときは「ある分野の知識を持って、それを活用する能力」という意味をさすようです。ですから「まだ知識が周知していない新しい分野+リテラシー」と組み合わせで、「ITリテラシー」「金融リテラシー」などと使用されます。ですから、DXリテラシーは「DXの内容を理解して、活用する能力」となります。
DXとはデジタル変革によって産業の構造自体を変革すること
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
デジタルスキル標準とは
経済産業省のホームページによると、「全ての人がデジタル化のメリットを享受できる社会では、全ての人が、役割に応じた相応のデジタルスキル・知識を習得することが必要」だとされています。
とくに、産業界においては、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める必要から、DXとはなにかを理解して、自社のビジネスにDXをどう活用するのかを主体的に考える人材が必要です。そこで、DXの推進を人材のスキル面から支援するため、DXを推進する人材の役割や習得すべきスキルを定義した「DX推進スキル標準(DSS-P)」を策定し、「DXリテラシー標準(DSS-L)」と合せて、個人の学習や企業の人材育成・採用の指針である「デジタルスキル標準(DSS)」として取りまとめています。
DXリテラシー標準のめざすもの
DXリテラシー標準の目指すものは「働き手一人ひとりがDXリテラシーを身につけ、DXを自分事ととらえ、変革に向けて行動できるようになる」状態です。
そのために必要なものはなんでしょうか?経済産業省が示した方向性をわかりやすくまとめました。
マインドスタンス:DXを受け入れる意識の土壌や姿勢をつくる。
【求められる状態】
社会変化の中で新たな価値を生み出すために必要なマインドスタンスを知り、自身の行動を振り返ることができる。
【実施すること】
- 変化の理解・受け入れ
- 自分を取り巻く環境が変化していることを受け入れる。
- 新たな価値観、行動様式、知識、スキルを身につける。
- 多様性を受け入れている。
- 従来の考え方にとらわれない考え方が必要になっていることを理解し、臨機応変に実践できる。
- 勘や経験だけでなく、客観的な事実やデータに基づいて、物事を見たり、判断したりする姿勢を持つ。
WHY:なぜDXが必要なのか?
【求められる状態】
時代の流れを理解し、人々の価値観や世界が変化していることを知っている。
【実施すること】
- データやデジタル技術へのニーズが高まっていることを知る。
- DXが社会や経済に果たす役割と重要性を理解する。
What:なにを使ってDXをおこなうのか?
【求められる状態】
DX推進のために使われる技術であるAI、クラウド、ネットワークなどの用語を理解している。
【実施すること】
- データの種類や社会での使用用途について知る。
- データ活用には、データ抽出・加工の手法やデータベース構築の技術が欠かせないことを理解し、データの分析手法や結果の読み取り方を知る。
- ビッグデータを解析して、分析する利点やの目的を知り、アプローチ方法を知る。
How:どうやってDXを推進するのか?
【求められる状態】
データ・デジタル技術の活用事例を理解し、その実現のための基本的なツールの活用方法を身につけたうえで、留意点などを踏まえて実際に業務で活用できる。
【実施すること】
- ビジネスにおけるデータ・デジタル技術の活用事例を知って、自社の場合何に使えるかを考える。
- DXのリスクを理解し、モラルを持った態度で、インターネット上で適切なコミュニケーションをする方法を知る。
- 捏造、改ざん、盗用などのリスクを知り、セキュリティやコンプライアンスなどの意識の必要性を知る。
製造業こそDXリテラシーが身についた人材が必要
製造業では工程ごとに専門性が違う
DX化を推進するにあたって、どの業界でも従業員のDXリテラシーの向上は必要になってきますが、製造業は特に重要です。それは、なぜでしょうか?
製造業では、どの工程にもDXが入り込んでいきます。製造業では、それぞれ工程の専門性が高く、すべてを深く理解するのは困難です。DXを推進するためには、DXだけでなく工程を理解し、ニーズを掘り起す必要があります。
それぞれの工程に、DXリテラシーを持った人材をおけば、よりデータ利用が推進され、優位性が高まるのです。
工程ごとのIOTは、製造業を進化させる
DXは、工程によって活用方法が違います。
たとえば、IOTを例にあげてみましょう。IOTは「モノのインターネット」とも訳される言葉ですが、製造機械がIOT化すれば、製造数や製造時間、製造時に測定される温度や圧力、不良の発生率、鋼板の厚みからキャップのネジ山のデータまで、ネットワークで管理可能です。こうなれば、不良の原因や、発生防止対策なども推測しやすくなるでしょう。また、品質管理の分野では、集積した試験データの照査や試験機器のIOTによるデータの信頼性アップをすすめられます。近年問題になっている試験結果の改ざんの心配もありません。物流では、自動倉庫のIOTで在庫管理が格段に楽になるかもしれません。
このように、各工程を良く知る熟練者によってDXがおこなわれれば、より専門性の高いデータ利用が可能で、製造業の進化に繋がるのです。
作業者もIT人材となる製造業
製造業では効率化がすすめられ、DXを推進する場合もメンテナンスなどは作業者自身がおこなう必要があります。安易なデータの持ち出しや改ざんなどを防ぐためにも、DXリテラシーを浸透させる必要があるのです。今後製造業では、ほとんど人間がIT人材化していくでしょう。
IT人材の採用にもDXリテラシーが必要
製造業で採用を担当するのは、一般的に人事担当者や管理職などです。DXを推進する人材を採用する場合にも、DXリテラシーが必要です。
自社がデジタル分野で抱えている課題や目指す方向性を知らない状態で、IT人材を採用するのは、困難を極めるでしょう。
IT人材は、エンジニアの絶対数が少なく、かつ求人数が多い売り手市場です。各企業では、業務の効率化や生産性向上に向けて、業務のIT化やDXの推進を図るために、人材確保を進めています。人事担当者も、DXリテラシーをもつ必要があるのです。
製造業全員にDXリテラシーを浸透させるには
ここまで読んできた方の中には「DXリテラシーの必要性は理解できたけれど、具体的に何をすればいいの?」と思う方もいると思います。
そんな方のために、ここでは、具体的なDXリテラシーの向上方法をご紹介します。
1.社内の情報システムや環境の整備
現在使用している情報システムは、いつ頃導入されたものでしょうか?もし1990年代から2000年代であれば、DX推進に向けてシステムの更新が必要です。
経済産業省が2018年に発表したDXレポートによると、多くの企業がデジタル技術活用の重要性に気がついていながらも、何をどうすれば良いのかわからない状態だと指摘されています。現在でもバブル期以降に導入され老朽化したシステムを使っている企業は多いでしょう。マイナーチェンジで複雑化して、誰にも全体が見えない「手が出せない」システムのままでは、2025年以降にメンテナンス費用ばかり、経営の足を引っ張るという試算も出ています。
クラウド型のシステムなど、DXの環境が整えば、おのずからリテラシーも身につきやすくなります。
2. IT関連資格の取得の促進
基礎的なITの資格といえば、情報処理技術者試験です。そのうち、入門的資格と言えばITパスポートがあげられます。
これは、国家試験であり、情報処理の促進に関する法律(昭和45年法律第90号)の規定に基づき、経済産業大臣が実施する情報処理に関する業務を行う者の技術の向上に資するため、情報処理に関して必要な知識及び技能を問うものです。
ITパスポートは、ITエンジニアだけでなく幅広い層にITの知識が必要であるという認識の広がりにこたえて、平成21年に新設されました。令和3年11月には、総応募者数が100万人を超える人気資格になっています。情報システム、ネットワーク、データベースなどITの基礎知識が体系的に身につきます。DX推進の入り口としてもオススメできます。
ITパスポート以外にも、情報システムに関する基礎的な資格として、情報セキュリティマネジメント試験や基本情報技術者試験、応用情報技術者試験をはじめ、さまざまな資格があります。社内のDXの進捗状況によって、取得を検討するといいでしょう。
これらの資格に対して、受験費用の補助や、教材の提供、合格報奨金などを用意すれば、DXリテラシーの土壌づくりに有効です。
3.定期的なITリテラシー研修を実施する
DXリテラシーは、時代の変化によって少しずつ変化しています。この変化に対応するためには、定期的なITリテラシーの研修が必要です。
外部から講師を招いてもいいですし、社内の技術者が教育を実施する企業もあります。
教育の際には、最後に必ず効果を確認する時間を設けて、繰り返し学習を実施すると良いでしょう。
4.DXに触れ実践する
DXは難しいものではありません。むしろ、仕事の効率化や省力化に貢献する技術です。DXという言葉だけではなじみがなくても、実際に使ってみると良さがわかるという側面もあります。先にDXリテラシーを身につけた人材が、他のメンバーにもDXリテラシーを広げることも可能です。
誰にでも使える技術であることを理解してから、DXリテラシーについて学べば、具体的で実践的な教育になります。
製造業は全員がIT人材となる時代へ
DXリテラシーはDXの内容を理解して、活用する能力です。今後製造業では全員がDXリテラシーを身につけ、実践していく必要があります。そのためには、身近にDXが推進可能なクラウド型システムを導入したり、資格取得を推進したりするだけでなく、定期的な教育や日常的に使用する環境が必要です。
製造業のDX推進におすすめしたいのが、クラウド型生産管理システム「鉄人くん」です。「鉄人くん」は、製造業専門のシステムとして発売されており、ライセンスが無制限。つまり、ライセンスの関係で使えないということがないので、DXリテラシーが向上しやすいのが特長です。DX環境の整備の際には、鉄人くんも検討のひとつに加えてくださいね。
また、トライアルキャンペーンも実施していますので、生産管理システムの導入を検討してみたいとお考えの方は、こちらからお気軽にお問合せ・ご相談ください。