FAXは「時代遅れ」「前世紀の遺物」のような言い方をされることもあります。しかし、FAXはまだまだ現役で活躍しています。それでも「FAXのままでいい」とは言えません。FAXにデメリットがあるのも事実です。この記事ではFAXの利用状況とメリットとデメリット、デメリットへの対策を紹介します。
FAXは現役!メリット・デメリット・製造業でのリスク回避策は?
御社ではFAXを使っているでしょうか?FAXは1843年にイギリスで発明されました。現在のデジタル化が急速に進む時代では、ときに「時代遅れ」「前世紀の遺物」のような言い方をされることもあります。しかし、FAXはまだまだ現役で活躍しています。それでも「FAXのままでいい」とは言えません。FAXにデメリットがあるのも事実です。この記事ではFAXの利用状況とメリットとデメリット、デメリットへの対策を紹介します。
デジタル化の遅れ?いまだ現役のFAX
インターネットの世の中と呼ばれて久しいですが、日本の企業では、FAXの利用率が依然として高く、デジタル化の遅れが指摘されています。
2022年、デジタル大臣に就任した河野太郎氏は会見にて、政府のFAX使用状況を調査し現場業務のデジタル化を進める考えを示しました。2025年度までに学校現場でのFAXでのやり取りを原則廃止する方針です。
しかしビジネスの場では、未だにFAXは現役で続けられているようです。特に中小企業におけるFAX依存度は高い傾向にあります。
製造業の2人に1人が「毎日FAXを使う」
製造業では、FAXの利用は依然として日常的な作業です。
Chatworkの調査によると、Chatworkの調査によると、物流業と製造業のおよそ2人に1人が「毎日FAXを使う」と回答しました。※
一方で、同調査によると製造業ではインターネットを通して提供されるソフトウェアサービスであるSaaSの活用も進んでおり、「既に導入し、活用している」との回答が38.2%と産業全体の平均を上回っています。
中小企業ではFAX依存はもっと高く、従業員30名以下の中小企業では実に7割が「紙や口頭で業務を行っている」と回答しています。
※Chatwork株式会社 2024年4月3日(水)15:00物流・建設・製造業✖️中小企業の社長・バックオフィスの回答を分析
世界でもFAXが使い続けられている?
FAXの利用率が高いのは日本だけではありません。海外に目を向けても、米国では69%の人が業務でFAXを使用しており、その割合は日本よりも高いのが現状です。世界的にみても、2017年のIDCによる調査でもグローバル企業の43%でFAXが現役でした。
意外に多いFAXのメリット
FAXは1843年にイギリスで発明された古い技術ですが、意外にもFAXにはまだまだ多くのメリットがあります。主なものをまとめました。
セキュリティが高い
FAXはインターネット回線を通さない技術です。サイバー攻撃のリスクが低く、機密情報の送信に適しています。
届いたことが確認できる
FAXは確実に送信できるのも魅力です。相手に届いたことを確認できるので、見積書や発注書など重要な書類のやり取りのため、FAXを未だに使っている企業もあります。
使い勝手がいい
FAXは、手書きのメモでも送信できます。インプット作業が必要がなくコピーを送る感覚で書類を送信できるので、PCやスマホより手軽です。操作がシンプルでパソコンが苦手でも使えます。
受信したデータは紙で残るので、確認するのに手間がいらず、印刷する必要がありません。メールで受信した書類を印刷しようとして、設定に苦労した人は多いでしょう。
コストが低い
FAXはインターネット環境や特別な機器が必要ありません。既存の電話回線を利用できるため、中小企業にとっては経済的な選択肢です。
FAXが現代でも根強く使われているのには理由があるのです。もちろんデジタル化は中長期的な課題ですが、FAXの利点も無視できません。
無視できないFAXのデメリット
FAXは長年便利に使われてきた通信手段ですが、無視できないデメリットもあります。
ペーパーレスに逆行している
FAXはペーパーレス化の流れに逆行するツールです。ペーパーレスとは、言葉通り「紙を使わず」に業務を進めることで、電子データを活用すれば業務効率が向上し「ペーパーレス」が進むと考えられます。環境対策は、地球上に住む誰にとっても大切な使命です。
FAXの送受信には紙が必要です。日常的にFAXを使用するということは、大量の消費につながります。環境負荷の観点から、FAXの利用は望ましくありません。
データの管理や検索が難しい
紙の書類を保管するには場所が必要です。ファイリングされているデータから目的のデータをを取り出すためには、重たいファイルを運ばねばならず検索もできません。共有も難しくなります。
デジタルデータであれば、簡単に保存・検索・共有ができ、業務の効率化につながります。
維持費がかかる
FAX機の維持には、用紙やトナーなど一定のコストがかかり、故障した場合の修理や交換にも費用が発生します。
トラブルが起こりやすい
FAXでは通信エラーや紙詰まりなどのトラブルが起こりやすく、メンテナンスにも手間がかかります。
またFAXの送受信には手作業が多く、人的エラーが起こりやすいというデメリットもあります。誤送信や、受信したFAXの放置による情報の流出は、企業にとって大きな脅威となります。FAXによる個人情報の送信は、コンプライアンス上の問題にもつながりかねません。
また、机の上に置いていたのに他の書類に紛れて処理できないなど、紙ならではのトラブルもFAXにはおこりやすいでしょう。
場所が限られ即時性が担保できない
あたりまえですが、FAXはFAXのある場所からしか送れませんし受信できません。現場作業者が、トラブルに対応するために必要な物品の詳細を送ったり、メーカーからの図面を受け取ったりする場合には、FAXのある事務所などに取りに行く必要があるでしょう。
大きな工場や清浄度の高い工程であれば、FAXを取りに行ったり送ったりするだけでも、時間ががかります。トラブル対応が15分遅れるだけでも、大量生産の場合大きなリスクとなります。
FAXが便利だとはいっても、デメリットも無視できません。FAXだけに頼り続けるのではなく、デジタルツールへの移行も進める必要があるのには変わりません。
FAXのデメリットはこう解消する
FAXのデメリットを解消するための方法は、いくつかあります。自社にあった方法を実行してリスクを減らしましょう。
デジタルツールを利用する
ペーパーレス化を進めるためには、FAXの代わりにメールやクラウドストレージを利用するのがおすすめです。書類をデジタルデータとして送受信・保存することで、紙の消費を抑え、環境負荷を減らすことができます。
さらに「受発注システム」を利用すれば、クラウド上でファイルを一元管理し受発注データの検索も可能になりますから、お客様の発注間違いを早期に見つけるなど、いっそう便利で、効率もアップします。製造業専門クラウド型生産・販売管理システム「鉄人くん」なら、生産管理システムとも連携し、工数の削減を実現します。
初期費用も安く、メンテナンスやアップデートの手間も費用も必要ないので、製造業の方におすすめしたいツールです。
バックアップもクラウド上で自動的に行われるため、データ損失のリスクも軽減されます。セキュリティ上の不安はパスワード保護や暗号化機能を備えたサービスの利用やアクセス権限の設定による情報の閲覧者制限などで、対応しましょう。
インターネットFAXの利用
インターネットFAXは、インターネットの回線を使ったFAXのことです。電話回線をせず、PCやスマートフォンを使用してFAXを送受信します。
インターネットFAXが取り扱うのはデジタルデータなので、PCやスマートフォンの画面で内容を確認できます。
製造業であれば、FAXのある場所までいちいち現場から出てFAXを送信し、受信したFAXをもらいに行くなどといった手間も省けます。
複合機の利用
現在、普及しているほとんどの複合機は、コピーやFAXだけでなく、クラウド連携、メール転送などの機能が搭載されています。
FAXがそのまま保存できますし、内容によっては印刷せずにそのまま削除することもできます。設定によっては、受信したFAX文書を自動的にパソコンや携帯端末に転送したり、クラウドに上げて自宅で取り出したりすることも可能です。
利用方法は、説明書を確認するかサービスまで問い合わせましょう。
FAXのデメリットの歯止め|5つの方法
複合機もなく、コスト的にもいまは対策が難しい場合は以下のような方法もあります。
- 頻繁に送信する相手の番号は登録しておく:送信ミスを防ぎ、機密情報が漏れるのを防ぎます。
- 送信前に声を出して指さし確認する:電話番号、相手先などを声に出し、指差し確認するとミスが減ることが確かめられています。
- 受信したFAXをスキャンしてデジタルデータにする:重要な内容についてはデジタル化して、確認しやすくしておきます。
- FAX送信前に連絡する:FAXが紛れてしまい、データを紛失するのを防ぎます。
- セミナーや資料配布など教育を実施する:FAXが手作業が多いので、作業者の意識でトラブルの数が違います。定期的にセキュリティやITリテラシーなどの教育を実施しましょう。
これらの方法を組み合わせれば、コストをかけずにFAXのデメリットを少なくできます。
FAXのデメリット解消には、地道な取り組みが求められますが、業務の効率化とコスト削減につなげることができるでしょう。
今はFAX以外に使える方法がなくても技術革新やコストダウンによって、代替方法が出てくる可能性もあります。定期的に情報を確認し、FAX以外の方法を探りましょう。
FAXにはいまだにメリットも多いが変化も選択肢にいれるべき
FAXは、セキュリティの高さ、確実性、使い勝手の良さ、低コストなどのメリットから、今なお多くの企業で使われています。しかし、ペーパーレス化への逆行、データ管理の難しさ、トラブルの多さなどのデメリットも無視できません。
FAXの利点を活かしつつ、メール、クラウドストレージ、インターネットFAX、複合機など、デジタルツールの活用も視野に入れて業務を進め、少しずつDX化する流れに乗る必要があります。FAXに頼るだけでなく、新しい技術や方法も取り入れれば、業務効率化とコスト削減もみえてきます。
クラウド型生産管理システム「鉄人くん」は、FAX受発注業務のDXしペーパーレスを進めてくれるツールです。製造業ならではの問題にも対応していますし、クラウドを利用したシステムなので、メンテナンスやアップデートの手間もかかりません。導入費用も少ないので、ぜひ検討してみてください。