生産管理におけるフレームワーク構造とは

製造業の経営

生産管理におけるフレームワーク構造とは

生産管理では、フレームワークを用いて仕事を管理しているところも多いといえます。
しかし、「フレームワークの内容は把握できてるけど、業務改善や業務内容そのものに影響があるのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。

実際、フレームワークはそれぞれの要素に当てはめて、業務を行うだけでは意味がないものです。結果として、課題がわかっているのにもかかわらず、いつまでも改善に取り組めないといった事態に陥ることもあります。

今回は、生産管理におけるフレームワーク構造について、必要性や概要・使い方まで詳しくみていきます。

なぜ生産管理にフレームワークが必要か

製造業における生産管理においてもフレームワークはよく使用されています。フレームワークを生産管理に使用する理由は以下の3つです。

  • 自社の課題を見つける
  • 自社の改善点を見つけ実行する
  • 計画に沿った生産を行えるように効率化する

生産管理業務は、工場における要といっても過言ではないほど多岐にわたる業務を行います。生産から品質にいたるまで管理しなければならないため、フレームワークを使用することによって、業務の効率化を図ることが可能です。

俗にいう PDCA サイクルもフレームワークの1つです。例えば、生産管理業務の中で在庫管理を行っていたとしましょう。その場合、PDCAに当てはめると以下のようになりまなす。

  • P ・・・需要と供給に合わせて棚卸を結末までに行いたい
  • D・・・人の手で1つずつ在庫を数えた
  • C・・・結果として間に合わず、今も金額が合っていない
  • A・・・生産管理システムを使用するか、もっと早く棚卸を始めることによって効率化ができる

どのようなフレームワークを使用するのかは業者ごとに異なります。そして、同じような課題で悩んでいても、解決策が同じとは限りません。あくまでも同業他社の成功例は参考程度にとどめ、自社の業務上の課題をはっきりさせ、素早く解決するためにフレームワークが必要だといえるでしょう。

加えて、現在の製造業では、働き方も変化し、従事する業務も変化しつつある状況です。例えば、単純な穴あけなどの作業であれば、 AI が全て代替できるような環境が整ってきています。生産計画を検討する際も今後製造業で生き残るための手段の1つとして効率化は大切な要素です。

よく聞く製造業のフレームワーク3種類

ここでは、製造業においてよく使用される5つのフレームワークをみていきましょう。例えば、QCは製造業における品質管理を意味するものです。そして、生産管理業務の1つに、 QC が該当し、製品の企画そのものや品質の向上などを総合的に行っていきます。 QC だけでも多数のフレームワークがあるため、自社に合った方法をみつけていくことが大切です。

KPT

KPTは、以下3つの要素から構成される業務改善のフレームワークです。

  • keep.(続けたいこと、よかったこと)
  • Problems.(抱えている問題のこと、課題)
  • Try.(試したいこと)

KPTのやり方は、ホワイトボードの左側にKとP、右側にTを記述し3分割するところからスタートします。意識したい点は、Kから順番にスタートしていくこと、誰かを責めるのではなく、客観的な振り返りを行いつつ、課題を放置せずに改善を目指すことです。

ちなみに、KPTを行う場合、タスク管理ツールであるTrello(トレロ)などであれば、アナログな手法と異なり記録に残りやすいため、活用してみましょう。

QCD

品質、費用、納期3つの視点から物事を検討するフレームワークです。製造業においては、品質を最優先事項に置く企業も多いものの、その場合他の2つの要素はどのような課題が発生するのかも検討しなければなりません。例えば、顧客に対する優先順位は、この3つのうち、どれを優先するのかなども企業ごとに決定することで経営上の課題のクリアにつながります。

また、全体的な問題を洗い出すには、それぞれに対する問題点をざっくばらんに上げてもらいどのように解決したらいいのかを話し合う場合に使用できるでしょう。

TOC

TOC は全体的な課題を見つけるためのフレームワークです。例えば、 TOC を用いることで、原材料を加工し商品やサービスが顧客の手元に届くまでの問題点を探すことができます。

まずは、自社の生産におけるボトルネックを探すことからスタートしましょう。実際に生産管理の場合は、人の手による管理であれば、データを活用できていない・数字管理を全部手動で行っているなどはボトルネックに該当します。

例えば、数字管理を手動で行っている場合、生産管理システムを導入することによって業務改善を図ることが可能です。人の手に頼らず計算が可能であるため、担当者も他の業務に注力できるようになります。 

TOC の場合、ボトルネックの解決のためだけに付随する業務を他の部署に割り振ることもあるものの、そうした場合他の部署の業務が圧迫されることも少なくありません。そのため、自社にあった業務配分を検討しましょう。

SCMを知ろう

SCM は、必要なものを必要なタイミングで必要なだけ顧客に届けるためのマネジメント手法のことです。生産管理を行ううえでも無視できない定義だといえるでしょう。例えば、利益を上げるためには商品を出荷する必要があります。しかし、必要ではないタイミングで必要以上の出荷を行っても商品は売れず、利益は減少してしまいます。

SCM はそういった経営上の課題を解決するためにあります。欠品しないことや納期を守ること、無駄な在庫や設備投資をしないことなどを意識した場合に自社に反映していく必要があります。

管理だけに焦点をあててみても、計画に対してどのような結果だったのか、物流インフラは今のままでいいのかなど自社の業務内容を市場に合わせていかなければなりません。

自社に合わせたフレームワークで業務改善を

フレームワークは、体系的に課題や改善策を見つけ出すことのできる考え方や仕組みのことです。そのため、いくつもの手法があるだけでなく、企業によってどのようなフレームワークを採用しているのかも異なります。

例えば、KPTやPDCAも現状を把握し、課題を見つけ、改善策を見つけるための1つの方法です。生産管理の場合もフレームワークを使用することで、業務上の課題を見つけだしツールやシステムを使用しつつ、改善を繰り返していくことが大切です。

ちなみに、生産管理システムを導入する際も課題がはっきりしていなければ、効果は薄く、工場全体の効率化も難しいといえるでしょう。

まとめ

フレームワークは、業務上の改善点や課題を明確にしたうえで、効率的に業務を行うための考え方を示したものです。今回紹介したもの以外にも、多数のフレームワークが存在しています。自社の課題に合わせて取り組んでいきましょう。

生産管理業務でもフレームワークに当てはめて業務を分析することで、これまでに発見できなかった課題を発見できる場合もあります。そのうえで、ツールやシステムを導入する前に課題を明確にする意識をもっておくことが大切です。

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