正六角形の穴を持つ六角穴付きボルト(キャップスクリュー)や六角穴付き止めねじを固定したり、緩めるための工具に、六角棒スパナがあります。
今回は、主に自転車、家具の金属部分、機械設備などの六角穴に使用する工具「六角棒スパナ」について紹介します。
六角棒スパナとは
六角棒スパナとは、通常のナットだと飛び出たボルトの先端で、けがをする危険性があることを改善するために作られた「六角穴付きボルト(キャップスクリュー)」と呼ばれる正六角形の穴が付いたボルトや、「六角穴付き止めねじ(ホーローセット)」と呼ばれるねじ部の先を相手の部材に押しつけて固定するための正六角形の穴が付いたねじなどの、安全なボルトを、締めたり緩めたりするための専用の工具で、L型六角棒レンチなどとも呼ばれていますが、日本産業規格(JIS)では六角棒スパナとよばれています。
六角棒スパナは、棒の先端が正六角形になっていて、使用するねじの六角形の大きさごとに使用するサイズが違ってきます。六角棒スパナとボルトの穴がぴったり合うサイズになっているため、接触面積が大きく、ねじ穴が壊れにくいのが特徴です。また、押し込む方向に力を加えながら使わないといけないプラス・マイナスドライバーとは違い、回転方向のみに力を加えるだけで使うことができます。
六角棒スパナは、L字の形状になっており、短辺を持ち手にし、長辺をねじの先端に差し込むと早回しができ、長辺を持ち手にし、短辺をねじの先端に差し込むと、大きな力を加えられる為、本締めや、締め付けたねじを緩めることができます。
六角棒スパナの種類
六角棒スパナは、L字の短辺、長辺の両側とも使用することができます。
長辺の長さにより、スタンダード、ロング、ショートなどの種類があります。
また、六角棒スパナの長辺の先端の形は、標準の六角形状と、入り組んだ場所にあるねじに斜めからアクセスすることができるボールポイント形状の2種類あります。
標準の六角形状は、ねじ穴に対して、垂直に差し込まないとねじを回転させることができません。
ボールポイント形状は、狭くて垂直に差し込めないような場所で使用でき、先端がボール状に加工されているため、早回しに便利ですが、強い力はかけられないので、最後の締め付けや緩め初めには、標準の六角形状を使用する必要があります。
六角棒スパナと適合するねじ
六角棒スパナのサイズは、ねじの六角穴の対辺幅(ボルト径基準の六角二面幅寸法)で決められており、ミリサイズとインチサイズがあります。
そして、六角棒スパナを使用するねじには、六角穴付きボルト「キャップスクリュー」、止めねじ「ホーローセット」、六角穴付き皿ボルト「サラキャップ」、六角穴付きボタンボルト「ボタンキャップ」、六角穴付きテーパーねじプラグ「テーパープラグ」などがあります。
ねじの呼び径が同じでも、ねじの種類によって六角棒スパナの使用するサイズが違うので注意が必要です。
六角棒スパナ(ミリサイズ)
0.71㎜
「ホーローセット」 M1.4、M1.6、M1.8
0.89㎜
「ホーローセット」 M2
1.27㎜
「キャップスクリュー」 M1.4
「ホーローセット」 M2.5
1.5㎜
「キャップスクリュー」 M1.6、M2
「ホーローセット」 M3
2㎜
「キャップスクリュー」 M2.5
「ホーローセット」 M4
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 M3
2.5㎜
「キャップスクリュー」 M3
「ホーローセット」 M5
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 M4
3㎜
「キャップスクリュー」 M4
「ホーローセット」 M6
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 M5
4㎜
「キャップスクリュー」 M5
「ホーローセット」 M8
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 M6
5㎜
「キャップスクリュー」 M6、W1/4
「ホーローセット」 M10
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 M8
「テーパープラグ」 W1/8
6㎜
「キャップスクリュー」 M8、W5/16
「ホーローセット」 M12、M14
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 M10
「テーパープラグ」 W1/4
8㎜
「キャップスクリュー」 M10、W3/8、W7/16
「ホーローセット」 M16
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 M12
「テーパープラグ」W3/8
10㎜
「キャップスクリュー」 M12、W1/2
「ホーローセット」 M18、M20
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 M14、M16
「テーパープラグ」 W1/2
12㎜
「キャップスクリュー」 M14
「ホーローセット」 M22、M24
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 M18、M20
14㎜
「キャップスクリュー」 M16、M18、W5/8、W3/4
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 M22、M24
「テーパープラグ」 W3/4
17㎜
「キャップスクリュー」 M20、M22、W7/8、W1”
「テーパープラグ」 W1”
19㎜
「キャップスクリュー」 M24、M27、W1”1/8
21㎜
「キャップスクリュー」 W1”1/4、W1”3/8
22㎜
「キャップスクリュー」 M30
「テーパープラグ」 W1”1/2
「キャップスクリュー」 M33
24㎜
「キャップスクリュー」 M33
26㎜
「キャップスクリュー」 W1”1/2、W1”3/4
27㎜
「キャップスクリュー」 M36、M39
32㎜
「キャップスクリュー」 M42、M45、W2”
36㎜
「キャップスクリュー」 M48、M52
六角棒スパナ(インチサイズ)
0.028”
「ホーローセット」 #0
0.035”
「ホーローセット」 #1、#2
「サラキャップ」「ボタンキャップ」#0
0.05”
「キャップスクリュー」 #0
「ホーローセット」 #3、#4
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 #1、#2
1/16”
「キャップスクリュー」 #1
「ホーローセット」 #5、#6
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 #3、#4
5/64”
「キャップスクリュー」 #2、#3
「ホーローセット」 #8
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 #5、#6
3/32”
「キャップスクリュー」 #4、#5
「ホーローセット」 #10
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 #8
7/64”
「キャップスクリュー」 #6
1/8”
「ホーローセット」 1/4
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 #10
9/64”
「キャップスクリュー」 #8
5/32”
「キャップスクリュー」 #10
「ホーローセット」 5/16
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 1/4
「テーパープラグ」 1/16
3/16”
「キャップスクリュー」 1/4
「ホーローセット」 3/8
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 5/16
「テーパープラグ」 1/8
7/32”
「ホーローセット」 7/16
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 3/8
1/4”
「キャップスクリュー」 5/16
「ホーローセット」 1/2
「サラキャップ」 7/16
「テーパープラグ」 1/4
5/16”
「キャップスクリュー」 3/8
「ホーローセット」 5/8
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 1/2
「テーパープラグ」 3/8
3/8”
「キャップスクリュー」 7/16、1/2
「ホーローセット」 3/4
「サラキャップ」「ボタンキャップ」 5/8
「テーパープラグ」 1/2
7/16”
「キャップスクリュー」 9/16
1/2”
「キャップスクリュー」 5/8
「ホーローセット」 7/8
「サラキャップ」 3/4
9/16”
「ホーローセット」 1”、1”1/8
「テーパープラグ」 3/4
5/8”
「キャップスクリュー」 3/4
「ホーローセット」 1”1/4、1”3/8
「テーパープラグ」 1”
3/4”
「キャップスクリュー」 3/7、1”
「ホーローセット」 1”1/2
「テーパープラグ」 1”1/4
7/8”
「キャップスクリュー」 1”1/8、1”1/4
1”
「キャップスクリュー」 1”3/8、1”1/2
「ホーローセット」 1”3/4、2”
「テーパープラグ」 1”1/2、2”
ねじに合った六角棒スパナを選ぶには、ねじのサイズと六角棒スパナの先端のサイズを確認することが大切です。
まとめ
今回は「六角棒スパナと適合するねじ」について紹介しました。
六角穴付きのねじを使用する際には、ねじのサイズと六角棒スパナの先端のサイズを確認し、使うねじに合った六角棒スパナを選ぶ必要がありますね。
六角棒スパナとねじのサイズが合っていないと、六角棒スパナとねじ穴との間にぐらつきが生じ、しっかり締め付けできません。
また、片手で使用すると、六角棒レンチの軸がぶれてねじをしっかりと締めることができないため、先端をねじ穴の奥まで完全に差し込み、軸がぶれないよう六角棒スパナの軸に手を添えて使用します。
六角棒スパナは、短辺と長辺の特徴を理解し、うまく使い分けることが大切です。
ぜひ参考にしてみてください。