棚番管理のシステム化の 利点とは?

在庫管理

棚番管理のシステム化の利点とは|精度をあげる人的ミス対策のヒント

棚番管理は、在庫管理の基礎となる考え方です。自動ラック倉庫では、すでに棚番管理がシステム化され、そのデータが基になって在庫管理をおこなっています。棚番管理が大切なのは、自動でないラック倉庫でも同じです。
棚番管理を効率的におこなうためには、DXの利用が有効です。しかし、DXによって人的ミスが、ゼロになるわけではありません。では、人的ミスはどうやって減らしていけばいいのでしょう。ヒントをご紹介します。

棚番とは

棚番とは、通常ラック倉庫などの保管場所が複数ある保管棚を使う場合に1パレットを入れるスペースごとに付けられる番号のことです。

ラックは英語で「棚」という意味です。土地の少ない日本では、近年、平置き倉庫より、スペースを有効に使用できるラック倉庫の導入が多くなっています。

 

棚番管理の果たす役割

棚番管理は、現代の物流業務にとって非常に重要な項目です。棚番が論理的に把握されることによって、在庫管理システムが成り立ち、スピーディーな物流を可能にしているのです。物流分野での棚番管理の果たす役割をご紹介します。

 

自動ラック倉庫では棚番管理を元に運用される

ラック倉庫のうち、自動ラック倉庫は棚自体が可動式で倉庫全体が制御されています。ラックに保管されている物品は棚番ごとに管理され、コンピューター画面で品目、ロット番号、入荷などの情報が集約されて管理されています。

作業者はコンピューターによって目的の品物を指定し、保管、ピッキングの指示をおこなえば、あとは自動化されたシステムによって、先入れ先出しで作業がおこなわれます。

自動ラック倉庫は導入費用がかさみますが、

  1. 倉庫のスペースを有効に使える
  2. 危険作業が減る
  3. 保管、ピッキング作業がスピーディー
  4. 先入れ先出しが徹底できる
  5. 在庫の把握がしやすい
  6. トラブル対象製品の出荷止めをおこなうなどの場合、リスクが最小限となる
  7. 人件費の削減

利点は多岐にわたり、大規模な物流を効率的に運用するには欠かせない存在です。

 

現在、多くの企業が自動ラック倉庫を導入していますが、棚番管理がおこなわれていなければ運用が成り立ちません。

すべてのパレットに番号がつけられ、棚番と紐づけられて管理されています。

 

ラック倉庫でも棚番管理は重要

自動化されていないラック倉庫でも棚番管理は重要で

  1. 先入れ先出し
  2. 保管場所を探す時間の削減
  3. 情報の共有
  4. 在庫を探し回る
  5. 在庫把握による欠品防止
  6. 過剰在庫防止

などの利点があります。

もし、棚番管理が適切に行わなければ物流は混乱し、無駄が多くなるでしょう。

 

棚番管理システム化の利点とは

自動ラック倉庫では棚番管理では、すべての基本として機能しています。

また、自動でないラック倉庫にもシステム化は必要です。また製造業ではそのメリットが大きくなります。その理由をご紹介しましょう。

 

自動化されていない倉庫こそ棚番管理のシステム化効果は大きくなる

出し入れが自動化されていない倉庫の場合、保管とピッキングの作業は作業員に任せられています。

自動化されていないとはいっても、ラック倉庫になれば保管パレット数は多く、すべての作業員が頭の中でうまく整理整頓できるほど小規模のものは少ないはずです。

また、棚番の使いみちを固定化すれば、保管した位置はわかりやすいでしょうが、それほどの余裕がある場合は少ないと思います。多くの場合、棚の用途は変化します。

棚番管理をシステム化し、誰にでもわかるルールを適用するとベテランでなくても倉庫作業が楽になります。ベテラン作業員が、目的のパレットの場所を新人に教えに行き作業時間を減らす手間は減るでしょう。もし、スマホなどの端末で棚番が把握できるようになっていれば、より保管場所を客観的に捉えることができ効率がアップします。

 

製造業は棚番管理のシステム化で得られるメリットが大きい

製造業の場合、原材料や半製品、製品をパレットに乗せて、ラック倉庫に保管している場合多いものです。

最終製品については自動ラック倉庫があるけれども、原料、材料については自動でないラック倉庫を使っている場合もあります。これはコスト面での問題と、原材料の種類の変化が大きく自動ラック倉庫では即時対応ができないせいもあるでしょう。

生産と出荷が毎日繰り返される製造業では、棚にある物品は変化します。中間製品や仕掛け品も含まれ、物の流れは複雑化し全体を把握するのが難しい業態です。

物流は製造業の血液のようなものです。物流に滞りがあれば、業務は停滞し悪影響を及ぼします。

物の場所を見える化して、物流を効率化するのが棚番管理ですから、物流が効率化すれば、製造業の保管効率は上がり無駄が減り、メリットが大きいのです。

 

棚番管理の方法

では棚番管理はどうやって行えばいいでしょうか?基本的な考え方をご紹介します。

 

棚番はシステム化して管理する

在庫の場所を明確にする棚番管理は、個人を住民票で管理する仕組みと同じ意味を持ちます。つまり、棚番は物の住所なのです。

そして棚は通常の場合、碁盤の目のように配置されています。

 

場所の情報を階層に分け管理する

まず場所の情報を階層に分けましょう。住所でいえば○○県○○市○○長XX-Xと同じように大きな階層から分類していくのがわかりやすいでしょう。

階層の例として例をあげてみましょう。

保管する土地はどこか? 岡山県岡山市

どの倉庫を使うか?   第3倉庫

どのフロアにあるか? 2回

棚はどれか?      A

何段目か        3段目

横の位置        右から3個目

 

階層わけのルールをハッキリして「誰でも同じところにたどり着く」ように階層を分けましょう。

 

リストの作成

棚の番号、保管品の品目などが紐づけできるリストを作成します。

このリストは、常に変化するリストです。

エクセルなどでも対応できますが、在庫管理システムなどを導入しても対応できます。

 

保管指示、ピッキング指示の明確化、入出庫作業のマニュアル化

倉庫に関する作業方法について明確にします。この際にデータベースへの入力忘れ防止策をとる必要があります。

この部分が自動でないラック倉庫運用のポイントです。棚番管理のほころびは、この段階で発生する場合が多いものです。

 

棚番の明確化

ラック倉庫の場合棚自体にも“A-3-3”などと表示をつけるのが普通です。

人間はとっさのときにルールを忘れることがあります。作業のたびに確認でき、迷わないように、作業の指示とその場所が照合できるようにするのです。

 

棚番管理がうまくいかない3つの原因

棚番管理の方法を説明してきましたが、棚番管理のうまくいっていない人には「わかっているんだけど、うまくできない」と思う方もいらっしゃるでしょう。

棚番管理がうまくいかない理由は、案外単純です。でも、なかなか克服できない問題でもあります。

もし、あなたの会社の棚番管理がうまくいっていないなら、主な原因を3つあげますので、自社の場合何にあてはまるのか考えてみましょう。

 

基本的なルールが守られない

【原因】

ルールが非合理・煩雑:

ルールが作業者にとって納得できないものになっている。また非効率で面倒な作業が多い。

ルールが明示されていない:

文章を作成しているが、どこにあるのか何が書いてあるのか、わからない。

教育が不足している:

なんのために作業しているのか理解していない。

 

入出庫の記録忘れ

【原因】

急ぎの作業が多く、追われている:

いつも「いそがなければ」と思っている。せかされることが多い。

動線上に入出庫実績入力がない:

だんどりのなかに入出庫作業が含まれていない。あとでやろうと思って忘れる。

記録を忘れても次の作業に移れる:

入出庫の実績入力の有無で何も変わらないので忘れてしまう。

 

保管場所がわからなくなる

【原因】

作業員の記憶に頼っている:

情報の共有ができていない。そのときの気分で置き場所を決めている。置きやすい場所においてしまう。

記載に手間がかかり記入忘れが多い:

要件忘れしやすい書式、作業者によって記載方法が違う、忘れたことがわからない。

棚の使用ルールが決まっていない

保管ルールが決められていないか、守られていない。保管品のリストが確認できない。

 

棚番管理はDXと相性がいい

棚番管理の方法を説明してきましたが、棚番管理は、入出庫を確実にデータ化することが最も重要です。

動線が複雑な管理方法では、気をつけていてもミスがおこるものです。

このとき役立つのがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。

バーコードで、複雑な作業を単純化する、入力忘れで警報が出るようにしておくなどシステム化すれば歯止めを作りやすくなります。

 

棚番管理はDXによって高度なシステム化に変化してきている

棚番管理を能率よく実施するために、多くのメーカーから在庫管理システムが販売されています。

これからは、いっそう倉庫の巨大化集約化により、棚番管理のDXはいっそう進むでしょう。

 

 

DXによってシステム化が進んでも人的ミス対策は必要

DXによって防げるミスはありますが、防げないミスもあります。

特に、入力間違いや「したはず、置いたはず」などの記憶違い、見間違いなどには対策が必要です。

 

精度を上げる人的ミス対策のヒント

人為的ミスを防ぐ方法を以下にあげます。これらは製造業を中心にした人たちが作ってきた知恵です。

しかし、人為的ミスを防ぐために多くの人が知恵を絞っていますが、いまだに0になりません。最も大切なことは「自分はミスをするかもしれない」と考える慎重な姿勢です。

 

確認ミスや確認忘れを少なくするためにできること

確認作業の徹底

・数字や文字にチェックをつけ、ひとつひとつを声に出して確認する。

・作業ごとに確認を実施する。

・2人作業やダブルチェックを実施する。

リスクの把握

・KYT(危険予知トレーニング)を実施する。

・ヒヤリハット事例を集める・

・作業への理解を深める。

追いつめない

・管理者教育を実施し、追いつめないことを徹底する。

・精神的健康に気を配る。

間違えられないシステムの構築

・フールプルーフシステム:間違いを防ぐシステムづくり

・フェイルセーフシステム:間違ってもミスにならないシステムづくり

 

まとめ

棚番管理は、在庫管理の基礎です。自動ラック倉庫では、すでに棚番管理がシステム化され、そのデータが基になって在庫管理をおこなっています。自動でないラック倉庫でも、棚番管理は同じです。システム化すれば、効率アップがはかれます。
また棚番管理を効率的におこなうためには、DXの利用も有効です。市販されている製品には「鉄人くん」のように在庫管理ソフトに棚番管理が組み込まれている製品も多く存在します。市販品を使えば、ゼロからシステムを構築するより、ずっと簡単です。クラウド型の製品であれば、人件費、セキュリティ対策やバージョンアップもメーカーがおこないます。それらを考えれば、投資は決して高価にならないはずです。

しかし、DXによって問題がなくなるわけではありません。特に人的ミスは、やっかいです。人的ミスを減らしていくためには、多方面からのアプローチが必要になります。最も大切なのは「私はミスをするかもしれない」という姿勢です。

人的ミスを防ぎ、棚番管理を確実に実施して効率アップを目指しましょう。

クラウド型生産管理システム「鉄人くん」は、トライアルキャンペーンも実施していますので、システムの導入を検討してみたいとお考えの方は、こちらからお気軽にお問合せ・ご相談ください。

 

 

 

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