在庫は資産であり、できるだけ効率的に活用すれば企業の利益も上がります。在庫管理の方法として、一般的なのがエクセルとアプリです。
この記事では、エクセルとアプリについて、在庫管理をするとき気になる6つの視点で比較してみました。参考にしてください。
在庫管理とは
在庫管理は、製造業や販売業において重要な業務です。在庫は資産であり、できるだけ無駄を少なくして効率的に活用すれば、企業の利益も上がるからです。
在庫管理に関する主な業務は以下の10項目に分けられます。
- 品目・名称管理
- 数量管理
- 場所管理
- 入出荷予定把握
- ステイタス管理
- 入庫管理
- 出荷管理
- 保管中管理
- 時間管理
- 棚卸
在庫管理に求められるもの
では、在庫管理に求められるものはなんでしょうか?
これら在庫管理業務を無駄なく無理なく遂行するためには、①正確性、②同時性、③共有化の3点が必要です。
在庫管理は煩雑な業務でシステム化しなければ、なかなかうまくいきません。ですから、現在、在庫管理の実施には、アプリとエクセルを使ってシステム化されていることが多いようです。
アプリの特長
アプリは、パッケージ化されたシステムのことで、一定の要件を満たしたパソコンであれば、アプリをOSにインストールしさえすれば使えます。そして、必要なくなればアンインストールを実施し、パソコン本体に影響せずに取り外せます。
現在、スマホはもとよりタブレットやパソコンでも、アプリを使えば、システムを触ることなく複雑な作業がおこなえます。
現在アプリは、クラウド環境で使用する場合が多く、システムの不具合対応やバージョンアップ、セキュリティ対策もアプリメーカーに任せられます。
エクセルの特長
エクセルは、長年日本で便利に使われてきた表計算ソフトです。エクセルに詳しい社員がいれば、システムの自社開発が可能で社外にデータを持ち出す必要がありません。保存も手軽で、バックアップもできます。社内独特のルールにも対応できます。
在庫管理に使うならアプリ?エクセル?6つの視点から比較
では、在庫管理を実施するなら、アプリとエクセルどちらを選択するのが、より確実で楽なのでしょうか?ここでは6つの視点から比較していきたいと思います。
視点1:親しみやすさ
まず、親しみやすさについてみてみましょう。
アプリもエクセルも、いつものパソコンで使えます。ただし、クラウド型のアプリはネットワークにつながっているパソコンでなければ使用できません。また、管理数にもよりますが、エクセルマクロを使う場合、プログラムが複雑化すると、ファイルが立ち上がりにくくなります。
親しみやすさは、最初はエクセルのほうがあるでしょう。しかし、アプリはユーザーの使い勝手を考慮に入れてプロが作成していますから、そのうちに使いやすく親しみやすくなるはずです。
また、自社業務への親和性については、エクセルは自社でプログラムを作成しているので、作成者の時間があれば融通がききます。
アプリの場合、自社独自の設定をしようとすれば追加料金が必要になります。
親しみやすさは、慣れているエクセルのほうがあるでしょう。
視点2:信頼性
信頼性といっても、いろいろ尺度があります。システムの信頼性を確認するには、FDA(アメリカ医薬品食品局)が用いるALCOA原則が、客観性を持ち便利です。製薬業界では、薬の安全性・信頼性を保証するために、Attributable(帰属性)、Legible(判読性)、Contemporaneous(同時性)、Original(原本性)、Accurate(正確性)の各項目の検証を行います。在庫管理システムも、この原則にのっとってアプリとエクセルの信頼性を比較してみましょう。
Attributable(帰属性):どこから得たデータで、誰が記録したのかがわかること
在庫管理では、帰属性は、誰が記録したかわかることと解釈できます。エクセルの場合、項目に記入者欄への入力で解決します。
多くのアプリの場合、ユーザーごとにIDが発行されますので、データ入力だけで誰が入力したデータかが記録されます。
Legible(判読性):データがなにを示しているか読み取りやすく、次のアクションの妨げにならないこと
在庫管理での判読性は、欠品防止のため数量が少なくなったらアラートがでることでしょう。
エクセルの場合、セルの設定で決められた数字になったら色を変える。マクロで画面に警告表示を設定するなどして判読性を向上させます。
アプリならば、在庫のアラートについてプログラムがあるはずです。
Contemporaneous(同時性):データが直ちに記録されること
同時性は、アプリのほうが得意です。アプリならスマホやタブレットがあれば、どこからでもデータにアクセスできますし、データ更新もスムーズです。
エクセルの場合、同じファイルに複数人がアクセスできないので、データを入力したいときに入力できない場合もでてくるでしょう。忘れてしまうこともあるでしょう。
また、その入力待ちの間に注文を受けてしまうと、在庫がないのに注文を受けることになり信用が失われてしまいます。
Original(原本性):データが他にないこと
エクセルは原本性に問題があります。最新のバージョンではファイルの同時編集ができるようになりましたが、同時に同じファイルを他のユーザーと共同編集するには、いくつかの手順が必要です。
また、別の名前での保存や、シートのコピーも簡単です。複数の名前で保存してしまうと、どれが原本なのかがわかりにくく、原本性が危うくなってしまいます。
アプリの場合、データ複製されることは前提になく、原本性は確保されています。
Accurate(正確性):データが正しいことを証明できること
データが正しいことを、客観的証明するのは、多くの保証が必要です。また、それが後になって確認できるように、記録を残す必要があります。厳密にいえば、正確性の保証ができていなければ、プログラムが正しいかどうかわからず欠品のリスクを抱えているのです。
設定したパラメータが間違っていなかったこと、計算プログラムが間違っていなかったことなどを証明するために、エクセルの場合、ダミーデータを用いて「間違いがないこと」を確認する方法をとりますが、ダミーデータの選定方法など問題が残ります。
アプリであれば、データの正確性の保証はメーカーの責任です。最近多いクラウド型であれば、定期的に検証され、必要な場合はバージョンアップが実施されます。
信頼性の比較結果
ALCOA原則にてらして、信頼性を検証してみました。その結果、エクセルは同時性と原本性及び正確性の証明について、アプリに劣ることがわかります。
視点3:属人性の低さ
属人性とは「仕事が人についてしまう」性質を言います。例えれば「○○さんがいないと仕事が進まない」という場合、属人性があるといいます。
属人性があると、頼られている人が休暇をとることも難しくなりますし、人がいなければ、業務が停止してしまいます。そこまでいかなくても、業務に自由度が少なくなるため属人性は低いに越したことはありません。
属人性については、アプリのほうが低いといえます。そもそもエクセルマクロを作る際には、個人の力をつかいますし、もしマクロが壊れたら、作成者の手がかかります。エクセルマクロは、なかなか他の人にはわからないことが多いものです。したがって、属人性は高めです。
アプリには、使用者の中に作成者がいないので、エクセルよりも属人性が低いといえます。
視点4:教育のしやすさ
エクセルマクロの場合、使い方について教えることは可能ですが、マニュアル化もマクロ製作者の担当となります。
また、エクセルマクロを作成する場合には、通常論理構成は完全でない状態で作り始めることが多いでしょう。制作したプログラムを現場に使ってもらい、使い勝手をみながら作りこむ形をとることが多いはずです。
この場合、なかなか完成という状態にはならないでしょう。マニュアル化しにくい状態が続きますし、なかなかマニュアルをつくるのも骨が折れるものです。
一方、マクロであればダウンロードする際にはマニュアル化されています。たいていは図を交えたわかりやすい作りになっていて、読めば、ある程度の教育はすんでしまうことが多いでしょう。
教育のしやすさでいえば、マクロに軍配が上がります。
視点5:コスト
すでにエクセルがインストールされているのなら、エクセルの場合、初期費用もランニングコストも、ほとんど人件費だけです。ただJISA基本統計調査2020によれば、人件費は通常売上高の27.98%を占める大きなコストです。 決して少ない額とは言えません。エクセルマクロを構築できる人材が生み出す利益を、エクセルマクロの構築に投資しているといえるでしょう。
アプリは、オンプレミス型とクラウド型でコストが違います。オンプレミス型は初期費用が高価でランニングコストはバージョンアップファイルが有料だった場合のみ必要です。クラウド型の場合、初期費用は少なめで、ランニングコストが必要になります。
視点6:セキュリティ
クラウド型の多いアプリは、セキュリティが不安だという声も聞かれます。しかし、アプリは、専門のチームがセキュリティ対策をおこなっていることを考えると、一概にそうともいいきれません。
最近は災害も多くなっています。もし、事業所のある場所に津波などの水害や地震などが発生した場合、建屋自体が崩壊し、データがダメになってしまう状況も考えられます。そうなれば、複数のデータ保管方法をとっているクラウド型のアプリのほうが安心でしょう。
在庫管理をするならアプリよりエクセル
6つの視点で在庫管理をシステム化する際のエクセルとアプリの有意性を比較しました。エクセルが優位なのは「親しみやすさ」です。アプリが優位なのは「信頼性」「属人性の低さ」「教育のしやすさ」「セキュリティ」に関する項目です。
コストについては人件費の考え方により、ここでは判断しません。
トータルでいえば、在庫管理をシステム化するならアプリのほうがおすすめです。
おすすめの在庫管理アプリ「鉄人くん」
在庫管理をするアプリでおすすめなのが、製造業専門クラウド型生産管理システム「鉄人くん」です。製造業専門のシステムとして発売されているので、製造業の方には特におすすめします。
生産管理とも連携していますので、生産計画や生産状況がリアルタイムで確認できます。
クラウド型で、メンテナンスやセキュリティ対策もメーカーに任せられ、負担も増えません。サポート体制も充実しています。もし在庫管理をするのなら、選択肢の一つに加えてみるのはいかがでしょうか。
まとめ
在庫管理をシステム化するには、エクセルとアプリを使うのが一般的ですが、おすすめなのはアプリです。最初システムに慣れないうちは戸惑うかもしれませんが、アプリは「信頼性」「属人性の低さ」「教育のしやすさ」「セキュリティ」の点でエクセルにまさっています。
製造業で、在庫管理のアプリを選ぶなら、おすすめしたいのは「製造業専門鉄人くん」です。鉄人くんなら、初期費用も安くサポート体制も充実しているので、選択肢の一つに加えてみてください。トライアルキャンペーンも実施していますので、生産管理システムの導入を検討してみたいとお考えの方は、こちらからお気軽にお問合せ・ご相談ください。