ペーパーレス化は製造業にメリット大|まず必要なハードとソフトは?

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ペーパーレス化は製造業にメリット大|まず必要なハードとソフトは?

ペーパーレスという言葉は聞いたことがあると思いますが、製造業ではほかの業種よりメリットが大きいのを知っていますか?DX化の入り口もペーパーレス化ですが、浸透するには時間がかかっているようです。この記事ではペーパーレス化のメリットと製造業で始めるのに必要なハードとソフトを紹介します。競争力を保つために、ぜひ参考にしてください。

ペーパーレス化はDX(デジタルトランスフォーメーション)の入り口

ペーパーレスとは「ペーパー(紙)」と「レス(ない)」を合わせた言葉で、「紙を使用しない」ことです。つまり、業務のペーパーレス化とは「紙を使わずに業務をすすめること」という意味です。

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を連携させて、新しい価値を生み出す動きのことを言います。激しい時代のなかで、競争に勝ち続けるためには必須の変化です。

従来の企業活動は紙を使ったものでしたが、DXを進めるには、印鑑を使った承認体制やFAXでの発注などがあると、うまくいきません。

そのため、ペーパーレス化はデジタル化の入り口として捉えられています。

 

ペーパーレス化の一般的なメリット

ペーパーレス化には、一般的に次のような利点があると言われています。

 

働き方改革

ペーパーレス化を実施しデータをクラウド上で管理すれば、どこにいてもデータにアクセスできます。これによって、リモートワークが可能になり、書類輸送の必要もなくなります。

 

属人化の防止

書類を個人の引き出しに入れてしまうと、他の人は見れなくなります。ペーパーレス化すれば、他の人もデータにアクセス可能となり、属人化を防ぐことが可能です。

 

コロナなど感染症対策

ペーパーレス化すれば、同じ書類を多くの人が触らなくてすみます。接触で感染がおきる疾病には効果的な予防対策でしょう。

 

情報漏洩リスクの低減

置き忘れによる情報漏洩のニュースを聞いたことがあるでしょうか?顧客名簿や重要な地面など、情報漏洩が事業存続のリスクであることは周知の事実です。厳重に管理しているはずの書類が、人為的ミスや安易な持ち出しで流出しています。

セキュリティに留意が必要な書類も、ペーパーレス化して持ち歩かなければ置き忘れません。

 

保管場所の削減

紙を保管するためには、場所が必要です。特に都市部では、保管場所にも費用がかかります。

ペーパーレス化によって保管場所が削減されれば、倉庫などを借りる必要がなくなりスペースが有効に使えます。

 

コスト削減

紙やトナーの費用もバカになりません。クリップやバインダーなどもペーパーレス化すれば、必要なくなります。

 

SDGsへの貢献

SDGsとは2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals」の頭文字をとった名称です。

SDGs には、2030年までを期限とする17の目標と169の具体的目標がありますが、ペーパーレスは、このうち4つの目標に貢献可能です。

  • 働きがいも経済成長も

ペーパーレス化が進めば業務が効率化し生産性が向上します。そのことによって、テレワークなど働き方の選択肢が広がり、子育て中や病気でも、自分らしい働き方を選択できるようになります。

  • つくる責任 つかう責任

ペーパーレス化は、紙を無責任に消費しない姿勢に繋がります。

  • 気候変動に具体的な対策を

過剰な森林の伐採は、気候変動や地球温暖化の要因のひとつです。ペーパーレス化によって使われる紙が減れば、森林の保護にもつながります。

  • 陸の豊かさも守ろう

ペーパーレス化によって紙の使用量が減り森林伐採が減れば、それだけ森林を守ることにつながります。

 

製造業はペーパーレス化のメリットが多い

製造業は、他の業種よりペーパーレス化のメリットが多い業態です。製造業ならではのメリットをご紹介します。

異物混入防止

製造業のなかでも、食品や飲料、化粧品、医薬品、半導体などを製造している工場では、常に異物混入対策に追われているでしょう。

クリーンルームといわれる部屋の中にも、真菌や塵埃を餌にして内部発生する虫がいます。このうち塵埃は人の皮ふや紙粉などが原因となり、いったん発生すると厄介です。ペーパーレス化は紙粉を減らし、ファイル保管場所での真菌の増殖を元から断ちます。

また、紙の間に挟まった異物は取り除きにくく、毛髪や皮膚などが入り込むと、異物混入のもとになってしまいます。

クリーンルームでなくても、記入に使っていたボールペンやメモ用紙などが異物として製品に入ったり、書類に使う筆記用具で製品を汚したりする場合もありうるでしょう。

ペーパーレス化すれば、ボールペンの数を終業時に数える必要はありません。

 

スマートファクトリーへの移行

スマートファクトリーとは、設計から製造、保守までDXを行い、生産設備そのものをインターネットに接続し、すべてをシステム管理する工場のことです。

製造業はカイゼンや5Sで業務の見直しを進めていますが、近年は少子高齢化や製造業に対するイメージもあって人手不足が続き、また海外製品との競争も激化し、状況は難しくなっています。

ここで注目を浴びているのがスマートファクトリーです。工場の機械そのものをインターネットにつなげ、すべてシステム管理して動かすスマートファクトリーは、生産性向上や、在庫の最適化、不良品の削減など、広範囲な改善がめざせます。

ペーパーレス化は、製造業にとってスマートファクトリーへの入り口です。今後競争力を保つ製造業として存在するためには、ペーパーレス化を避けては通れないのです。

 

在庫情報の共有

製造業では、生産計画にしたがって試験機器をそろえる、品質試験が合格になってから出荷する、中間品の生産状況をみながら本生産を実施するなど、多くの工程が関わるデータがあります。ペーパーレス化すれば、タイムラグなしに製品や原材料の在庫数や使用状況、試験状況などが把握でき、ムダな待ち時間を削減できます。

 

書類の破損・汚れ防止

製造業では、データ更新が必要でも、他の作業でその場を離れられないこともあります。チョイ置きした書類が落ちて破れたり、機械油で汚れたりした経験がある方もいるでしょう。その場合、データが紛失するリスクもあります。ペーパーレス化すれば、そもそもチョイ置きすることもなく、データがなくなる心配もありません。

 

ペーパーレス化は道なかば

メリットはたくさんありますが、ペーパーレス化は道なかばです。

2001年に総務省から総務省行政事務のペーパーレス化(電子化)実施計画が出され、ペーパーレス化(電子化)推進期間も設けられましたが、2003年度まで推進期間が設定されていました。しかし、2021年に日本能率協会が実施したペーパーレス化の実施状況によると、完全ペーパーレス化が最も進んだ勤怠管理分野でも51.8%です。政府が、ペーパーレス化を推進し始めてから、20年たってもペーパーレス化は道なかばと言えるでしょう。

 

 

出典:2021年「ビジネスパーソン 1000 人調査」【ペーパーレス化の実施状況】日本能率協会

 

ペーパーレス化の進まない理由

では、なぜペーパーレス化が進まないのでしょうか?ペーパーレス化のデメリットとして、メモがとれない、資料が見にくいなど、いろいろ言われます。

しかし、最も大きな原因は、一時的に業務の負荷が増える面倒くささでしょう。

うまくいっている業務をわざわざ止めてまで、費用をかけてペーパーレス化を進める気にならないというのが本音かもしれません。

 

企業価値を維持するためには2025年までにはペーパーレス化を

経済産業省は、2018年9月に「ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開」というDXレポートを出しました。このレポートによるとDXが進まず、複雑で老朽したブラックボックスのような既存システムを使い続けると、予想される経済損失は、毎年最大12兆円にのぼる可能性があると試算されています。これは、IT 人材の引退やサポート終了等によるリスクの高まりによるものと考えられています。

2025年に待っている崖に落ちずに企業価値を維持するためには、DXが必要です。それには、ペーパーレス化を進めDXが進む道づくりをしなければなりません。

とくに製造業なら、近年の品質ニーズの高まりを受けて、面倒だと言っている場合ではなくなっています。ペーパーレス化のタイミングが来ているといえるでしょう。

製造業でペーパーレス化を進めるのに必要なハードとソフトは?

システム関連の話は、あいまいに感じられるものが多い世界です。ペーパーレス化が必要なことは理解したけれど、概念だけが独り歩きして。具体的に必要なものが、わからないと言われる方もいます。そこで、製造業でDX化を進めるために、具体的に必要なものを紹介します。

ハード面で必要なもの

ネットワーク環境

製造業で、ペーパーレス化を進めるとき必須なのがネットワーク環境です。ネットワーク環境があれば、原材料や出庫可能製品の在庫が物流業務からも、営業担当からも確認できますし、プロジェクト、製品図面やプロジェクトなどの確認や購買や承認業務もペーパーレスでおこなえます。

ネットワークを検討するときは、様々な生産設備や計器をネットワークでつなぎ活用するIoT(Industrial Internet of Things)土壌となりますので、スマートファクトリーに移行することも念頭に置く必要があります。制御システムを一つのネットワーク基盤に集約し、さらに基幹系システムやクラウドサービスなどとデータを連携させるため、インターネットまで繋がる情報系システムが必要です。

高度成長期やバブル期に製造業に構築されてきたネットワークは、外部との接続を考慮していないものがほとんどで、オペレーティングシステム(OS)のサポートが切れていることもあります。これでは使えません。製造業のネットワークは複雑に進化していきますから、セキュリティ面でも信頼のおけるネットワーク環境を選びましょう。

操作性や携帯性に優れた電子デバイス

ペーパーレス化の導入の際、人が使いこなせずに慣れずにお手上げになるようでは困ります。操作性や携帯性に優れた電子デバイスが必要です。スマホやタブレットなど、日常的に使っている機器なら違和感なく使え、導入もスムーズでしょう。

 

ソフト面で必要なもの

ソフト面では、クラウド化されたシステムが必要になります。製造業では以下のようなシステムが必要になります。

  • 生産管理システム
  • 図面管理システム
  • 書式管理システム
  • 在庫管理システム
  • 受注システム
  • 品質管理システム
  • 簡単・快適に使えるWEB会議システム

クラウド化されたシステムは、できればお互いのシステムを行き来できるように接続するか、いくつかのシステムがまとまったパッケージシステムを使用するのがおすすめです。たとえば、株式会社ビジネス・インフォメーション・テクノロジーの提供している製造業専門クラウド型生産・販売管理システムの「鉄人くん」は、生産管理システムや図面管理システム、受注管理システム、在庫管理システムなどがパッケージされています。

 

意識改革

ペーパーレス化を進めるうえで障壁になるのが、人の意識です。「ハンコがないと不安だ」とか「資料はすべて印刷して持っておきたい」などという方もいらっしゃるかもしれません。

現在、ペーパーレス化されている業務でも同様の問題がおきていました。

いくつかの事例をみて言えるポイントは、大切なのは、それぞれのメンバーの意識を少しずつでも動かせるように、メリットを伝えることと、部分的にペーパーレスの取り組みを開始して、便利だと思ってもらうことです。

 

製造業でペーパーレス化を進めるならできるだけパッケージシステムを

ペーパーレス化は、製造業にとって他の業種よりメリットが大きい改革です。ペーパーレス化を始めるにはハードとソフトが必要ですが、製造業の場合、生産管理システムをはじめとする、クラウド化されたシステムが使いやすいでしょう。特に複数のシステムが統合されているパッケージシステムがおすすめです。

製造業専門クラウド型生産・販売管理システムの「鉄人くん」は、生産管理システムや図面管理システム、受注管理システム、在庫管理システムなどがパッケージされていて、製造業には特に便利です。

今後も競争力を保つために、ぜひこの記事を参考にしてください。

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