【製造業向け】クラウド型システムの導入で叶える|生産性向上へのプロセス

生産管理

【製造業向け】クラウド型システムの導入で叶える|生産性向上へのプロセス

近年、労働力人口の減少が進み、どの企業も人手不足に悩まされています。また、グローバル化によって海外から安価で高品質な製品・サービスが流入し、競争力を持たない日本企業は苦境に立たされている状況です。

メイドインジャパンと謳われていたのはもう昔の話なのです。アジア諸国の技術力・労働力は着実に伸びており、日本の製造業界は危機を迎えています。

こうした事態から脱却するために必要なのは、限られたリソースを最大限に活用し、大きな成果を生み出す取り組み、つまり生産性向上を図るという事なのです。

 

生産性向上とは?

生産性向上とは、所有している資源を最大源活用し、僅かな投資で大きな成果を生み出す事です。ビジネスにおける生産性とは、投入した経営資源によって、どの程度の成果・価値を生み出せたかと言う事になります。

 

例えば、150人の従業員が15,00個の製品を生産しているならば、生産性は15,000÷150で150です。これが50人で同じ成果を上げたとすると、15,000÷50で300になります。

 

このように、労働力などの投資に対する生産数などの成果を向上させることを生産性向上と呼びます。

 

生産性向上の目的とは?

平成28年に安倍内閣が掲げた「働き方改革」は、働く人たちのライフスタイルが多様に変化したことを背景に、より柔軟で、効率の良い企業体質を社会全体で作っていくことが目指された政策です。

 

企業の「生産性向上」は改革の重要テーマの一つとされ、近年、企業側の取り組みがますます注目されています。中でも、以下の2つの理由から必要性があるとされています。

 

【労働力人口の減少】

総務省統計局『労働力調査』2020年版では、日本の労働力人口は6868万人で、前年比18万人もの減少となった。15~64歳に限れば5946万人で、前年比34万人の減少です。

 

労働力というインプットが小さくなる中で、企業はこれまで通りのアウトプットを実現しなければならないのです。まさに「生産性向上」が求められる時代となっています。

【国際的な競争力の弱化】

公益財団法人日本生産性本部の『労働生産性の国際比較2021』によれば、日本の時間あたり労働生産性は49.5ドル(5,086円)。OECD加盟38ヶ国中23位という低い水準で、80.5ドル(8,282円)にも達するアメリカの6割の水準に相当します。これは1990年以降で最低の順位を記録しています。

 

また、スイスのIMD世界競争力センターが発表した『世界競争力ランキング』2021年版で、日本は主要63か国・地域中31位となっています。香港は7位、台湾は8位を記録しているので、アジア諸国に遅れを取っている事が分かります。

 

日本の企業は生産性が低い=価値の高いモノやサービスを生み出せていないため、国際的な競争力も喪失していると言えます。この状況を変えるためにも、少ない資源で価値のあるモノやサービスを生み出す、つまり生産性向上が不可欠なのです。

 

生産性向上の取り組みにおける重要な5つのステップとは?

生産性の向上を図ろうとなった時、どのようなことに注意し、どのような方法を選ぶべきなのでしょうか。生産性の向上は、基本的には業務ごとに関わる人全員で取り組むべき課題です。一概には言えませんが、多くの人が関わるほど効果が出やすいとも言えます。

 

【業務の可視化】

業務の流れ、コスト、労働時間、従業員の能力やポテンシャル、実際に出している成果の質と量などを可視化することが重要です。それによってインプットの種類と量、インプットに対するアウトプットの量も明らかとなり、ムダな部分やボトルネック、不足しているスキルや人数など、生産性向上へ向けての課題が浮かび上がってきます。生産性向上のPDCAサイクルを回すためにも、業務の可視化は重要です。

 

【ノンコア業務の外注とコア業務への投資集中】

業務を可視化した結果、ノンコア業務が肥大化していて、本来注力すべきコア業務にリソースを振り分けられていない実態が判明することもあります。ノンコア業務の分割や外注によって従業員の負担を軽減できれば、アウトプットを直接生み出すコア業務への集中を促すことになります。

 

ノンコア業務の引き継ぎや指導が不要となるのも外注のメリットです。もちろんコスト的な問題や、外部業者との連携が確立するまでは一時的に生産性が落ちる可能性はあります。そのため、中長期的な視点で考えるべき施策と言えます。

 

【適材適所の配置と人材育成】

各従業員について、スキルやパフォーマンス、将来的なビジョン、ワーク・ライフ・バランス、周囲との人間関係など、さまざまな要素を可視化することで、生産性を最大限発揮してくれるような人材の配置・配属が可能となります。

 

また、従業員の教育も重要となります。従業員は同じままでも各個人のスキルが向上すれば、生産性の向上に結びつく可能性があります。成果を維持・向上しつつ時短につながる可能性が高いと言う事です。将来的に必要となる人材の計画的な育成も実現できれば、中長期的な視点での生産性向上も図れることになります。社員教育を通じて個々の従業員が生産性を強く意識しながら働くようになれば、企業全体としての生産性向上も円滑に進みます。

 

【従業員のモチベーション維持・向上】

エンゲージメントやモチベーションが高い従業員は、生き生きと働き、大きなアウトプットをもたらしてくれます。逆にエンゲージメントやモチベーションが低いと、ミスが増え、効率は落ち、生産性も下がります。またエンゲージメントやモチベーションを高めることで、優秀な人材の外部流出と、それにともなう生産性の大幅な低下を防止することにも繋がります。

 

【テクノロジーの導入】

デジタルツールの活用、モバイル端末の導入、ペーパーレス化、クラウドサービスを利用した情報の共有など、各種テクノロジーの導入は、従業員の負担を軽減し、作業効率を上げ、生産性向上の効果を発揮します。

 

中でも近年、導入が進められているのがクラウド型システムです。クラウド型システムとは、原料の購入や生産の計画を管理するシステムのことです。システムを利用することにより、生産する際の工数を見える化し、生産、出荷の適切量を分析によって予測、反映できるようになります。ミスやロスの抑制、作業効率の上昇、人件費の削減、つまり生産管理能力の向上に繋がります。また、コア業務への集中促進など、クラウド型システムには多くのメリットがあり、生産性向上に欠かせないものとして各企業で導入が進められています。

 

なぜクラウド型システムなのか?

クラウド型システムの最大の強みは導入のし易さです。クラウド型システムは、ベンダーが運用するサーバへインターネット経由でアクセスし、システムを利用します。そのため、自社内にサーバー設置やシステムの保守管理をする必要がなく、手軽に導入しやすいなどのメリットがあります。

 

また、クラウド型システムは、ライセンス単位の月額料金のみが基本であるため、サーバ構築費や保守管理費、サーバー費用がかからず、コストを最低限に抑えて利用できるメリットがあります。

 

さらに、クラウド型システムはインターネット上でバージョンアップができるため、システムのバージョンアップやメンテナンスの手間がかからず、常に最新のバージョンを利用できるメリットがあります。万が一システム障害が発生したとしても、すぐに復旧作業を進めてくれる面も安心です。

 

クラウド型システムを導入する際のポイントとは?

クラウド型システムを導入する際には、特徴を活かして効果的に運用することが大切です。クラウド型システムを効果的に運用するために押さえておくべきポイントについて解説します。

 

【自社の生産方式に合わせて選択する】

クラウド型システムは、対応している生産方式によってそれぞれ異なるため、自社の生産方式に合っているものを選ぶようにしましょう。ライン生産方式・セル生産方式・ロッド式生産方式などが挙げられます。導入する際には、自社の生産方式、管理方式を確認した上で、それらにマッチしたシステムを選別することが大切です。

 

【セキュリティ強度の高いシステムにする】

クラウド型システムは、クラウドという性質上、ハッキングによる情報漏洩リスクがあります。導入時には、情報漏洩などのトラブルを発生させないためにも、システムのセキュリティ強度の検討が大切です。例えば、不正アクセスがあった場合に侵入者の痕跡を残せるログ管理機能、アクセス権限を特定の人物に絞れる機能が備わっているかなどを導入前にチェックしましょう。

 

【導入する目的を明確にする】

クラウド型システムを導入するには、何のために導入するかの目的を明確化することが大切です。特に生産管理の効率化には、製造業の流れ全体をチェックした上で、無駄がないよう管理、改善する必要があります。導入前には、何のために導入するのかを明確にしておきましょう。

 

【段階的な導入計画を立てる】

クラウド型システムを最初から全社的に導入すると、事前に予測していないトラブルが起こる可能性があります。または、システムの導入プロジェクトに調整を加え、何度もカスタマイズする必要が求められることもあります。導入後に発生するリスクを軽減させるためにも、段階的に導入し、問題がないか、効果を部分的に検証するなどして、少しずつ導入範囲を拡大していくと良いでしょう。

 

また、クラウド型システムは社内全員が利用できるようにすることで業務効率化が進むため、管理者だけでなく、経営層を始め会社全体で共通認識をもって導入を進めていくことが大切です。中小企業においては生産管理の責任者が経営者、管理者であることが多いですが、別な場合は事前に経営層に協力を頼むことで導入がスムーズに進みます。トップダウンでプロジェクトが進むよう、経営層にも協力を求めていきましょう。

 

クラウド型の在庫管理システムの導入を検討してみましょう

適切な生産管理を行うことは生産性向上に直結し、企業の利益を生み出すことに繋がります。クラウド型システムを導入すれば、各生産工程における業務の効率化や可視化、社員同士の情報共有が可能になります。

クラウド型生産管理システム「鉄人くん」は、製造業専門のシステムとして発売されています。在庫管理についても網羅し、わかりやすい操作画面と手厚いサポートで、システムが初めても企業でも使いやすくわかりやすいのが特徴です。

また、トライアルキャンペーンも実施していますので、生産管理システムの導入を検討してみたいとお考えの方は、こちらからお気軽にお問合せ・ご相談ください。

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