製造業で管理業務と言えば、生産管理があげられますが販売管理も重要な業務です。販売管理と生産管理は重なる部分もあるので、連携して情報を共有すれば楽なうえにビジネスにも有利になります。しかし、いままでそれぞれの業務の煩雑さから連携は部分的でした。この記事では、販売管理の内容と生産管理との連携方法、システム化をはばむ心理的壁の超え方について紹介します。
製造業の管理業務は生産管理だけじゃない
製造業の管理業務と言えば生産管理というイメージがあるかもしれませんが、それだけで製造業は成り立ちません。販売管理も大切な製造業の管理業務です。製造業の販売管理業務について、紹介しましょう。
製造業にも販売管理業務が必要
販売管理は、物品やサービスなどを販売する商取引全般の管理をさす言葉です。
製造業で生み出された製品を販売し利益を生み出すには、販売行為を行わなければなりません。つまり、製造業でも販売管理業務が必要となるのです。
販売管理でできること
販売管理は、商取引の内容をはっきりさせ、損益を明確にするためにおこなわれます。どの製品が利益を出しているのか、どこで売れているのかなどの情報がわかれば、今後の生産計画も立てやすいですし、製造コストに見合った利益が出ているのかがわかります。
それだけでなく、販売展開のしかたや新製品開発の方向性など企業の今後にも関わってきます。在庫の計算や見通しも立てやすくなるので、取引先からの信頼にも繋がるでしょう。
販売管理では何をおこなうのか?
販売管理業務は、販売の流れに従って実施されます。
- 見積実施
- 受注管理
- 出荷管理
- 売上計上
- 請求書作成
- 受領書発行
の流れです。商品を倉庫から出庫すると、在庫が減りますから
- 在庫管理
も、販売管理の一部としても捉えられます。
生産管理と販売管理を連携させるメリットとは
生産管理と販売管理には重なる部分がある
生産管理は、製品の受注から納品までを含み、製造業の根幹をなします。製造業が生産性を向上させるために、生産計画から受注管理、発注管理、在庫管理や品質管理など、さまざまな視点から製造にかかわるすべての工場の業務は生産管理と関わります。
生産管理は販売管理と受注管理や在庫管理の部分で重なります。それぞれの管理業務を連携させれば、省力化にも効率化にもつながります。
業務連携は楽でメリットも大きい
販売管理と生産管理を連携させれば、楽なうえにメリットは多方面にわたります。いくつかご紹介しましょう。
属人化の防止
特定の人しか、その仕事ができない状況を属人化といいます。もし、その人に何かあったら業務が成り立たないリスクは、回避しておかなければ、いざという時困ります。誰かしかわからなければ、不正も起こるかもしれません。誰もが情報を使える状態にしておけば、属人化を防げ、リスクを回避できます。
連絡ミスや思い込みによる間違いを減らす
販売管理と生産管理は、もともと近い業務なので「注文があったけど、いつまでに作れる?」「在庫はどれくらい?生産したほうがいい?」など、口頭やメモなどで一部の情報を共有して仕事を進めている場合も多いでしょう。
しかし、口頭やメモの伝達では、連絡ミスや思い込みは避けられません。「0」と「6」の数字の読み間違いや、意図の受け取り方が違うなどは、日常的でしょう。そもそも情報を共有しておけば、連絡ミスや思い込みも少なくなり、余計な苦労をせずにすみます。
保管コストの削減
販売管理システムと生産管理の情報が共有されていれば、在庫の数字を見ながら生産することも可能です。出荷が急がされている製品を優先的に製造したり、在庫量が増えすぎた製品の生産調整をおこなったりすると、倉庫も有効活用でき、保管コストを削減できやすくなります。
販売データの共有
販売に関するデータを、生産計画でも確認できれば今後の生産の方針も立ちやすくなります。なぜ、この製品を生産するのかという理由がはっきりすれば、生産のモチベーションや業務改善の方向性も変わってくるでしょう。
経営判断の妥当性向上
販売管理と生産管理を共有し、把握することができれば経営判断もしやすくなります。データを蓄積し分析すれば、販売戦略の内容やマーケティング方法の妥当性も向上も可能です。経営判断のスピードアップも図れるでしょう。
業務連携への問題点
販売業務は複数が並行して行われ、煩雑な業務です。そのうえ、金銭取引をともない、ミスが許されません。同様に生産管理も管理業務が複雑に絡んだ煩雑な管理を実施しています。
この2つの業務を連携するとなれば、いっそうの煩雑さを呼ぶのは自明です。ですから、手書きやエクセルなどに業務がとどまっている状況では、連携は問い合わせなどにとどまっていました。
システム化とクラウドで販売管理と生産管理が連携できる
メリットはわかっていながら、従来なかなか手をつけられない販売管理と生産管理の情報共有ですが、それぞれの管理業務をシステム化しクラウドでつなげば、販売管理と生産管理の連携は可能になります。
ここで言うクラウドは、クラウド・コンピューティングの略で、インターネットのようなネットワークを使って、情報を共有する仕組みのことです。関係者が誰でもアクセスできる環境に情報を置いておくと、どこからでも、その情報を使えるようになります。インターネットの情報のつながりが複雑に入り組んだ様子が雲のようだということで、雲という英語を使ってクラウドと呼ばれるようになりました。(諸説あり)
販売管理と生産管理で使う大量のデータをインターネットの雲=クラウド上に置けば誰でもが情報を使えるようになり、製造業にとって大きなメリットになるのです。
2025年の崖にあらがう心理的壁とは
クラウド利用は進んできているが…
総務省「令和3年通信利用動向調査」によれば、クラウドサービスを利用している企業は7割を超えています。
今後、製造業ではもっとクラウドを使ったシステム化が必要になってくるでしょう。製造業では、本社と工場、営業所が同じデータにアクセスでき使い勝手もよさそうです。
しかし、どんなにクラウドが便利でDXの推進が叫ばれていても、DXというだけで「頭が痛くなる」という方も存在します。
国がDXを推進する理由|2025年の崖
2025年の崖という言葉を、聞いたことがあるでしょうか?日本の企業は、DXを推進せずシステムの刷新できないままだと、2025年以降損失が増え続け投資する資金が枯渇に向かい崖から落ちるように情報化社会に乗り遅れてしまうという予測的危機を示す言葉です。これは経済産業省が提唱しており、日本はまさに危機に直面しようとしています。2025年の崖に落ちようとしている企業として以下のような特徴があげられています。
- バブル期から2000年前後に導入したシステムを知恵と工夫で使い続けている。
- ITに関しては業者に丸投げで、自社ではわかる人材がいない。
- 場当たり的にシステムを改修したので、どうなっているのか誰にもわからない。
- IT業者はメンテナンスのみを実施している。
- 意思決定までの手順が多くDXの革新スピードに追いつけない。
これらの自覚があるでしょうか?もし、自社にこれらの兆候があるのなら利益を確保し続けるために、できるだけ早くDXを推し進め、崖に落ちない方策をとることをおすすめします。しかし、現実には、なかなかうまくいかない部分もあるようです。
DXのスピードアップをはばむ心理的壁とは?
クラウドをはじめとするDXは思うほどには進んではいません。その理由として、心理的障壁の存在があげられます。それは、知識、面倒、不安の思い込みでできている壁です。DX推進にブレーキをかけている人たちには、心理的壁の理由を知り、対策を講じなければいけません。組織にはいろいろなタイプの心理的壁を持つ人がいるものです。ここからは心理的壁の種類別によって、実施できる対策をご紹介します。
知識の壁を乗り越えるには
とりあえず、DXというと「わからない!」とはねつけてしまうかたは、横文字のアレルギーを起こしているのかもしれません。デジタルトランスフォーメーションやクラウドなど、横文字の用語が続くと、その用語の理解だけでいっぱいいっぱいなのです。あたりまえに横文字を使う姿勢そのものを嫌がっていることさえあります。
DXを「情報機器を使った技術革新」と言い換えたり、クラウドを「権限があればだれでも見える情報置き場」、アクセスを「いく」などと表現したりすれば、苦手感なく受け入れられるかもしれません。このタイプの壁を持つ方は、理解できないのを恥と思っている場合も多く、逆に、いったん理解できると強い味方になってくれるはずです。
面倒の壁を乗り越えるには
新しいシステムというだけで面倒な感じがするものです。変わっていくことにはストレスが伴います。いままで、せっかく使ってきたエクセルや古いシステムを新しいものに変更する必要性が感じられないので、面倒と思っている場合もありますし、データ移動の面倒さを指摘する方もいます。しかし、新しいシステムに従来のエクセルやデータの取り込むのは、思っているよりもずいぶん簡単です。ファイル形式をcsvファイルなどで保管するだけでデータのエクスポートが可能になりますし、メーカーのサポートもあります。
いったんシステムに慣れてしまうと、新しいシステムの方が操作も簡単です。今までは、エクセルや帳票でしていた仕事より数段楽でしょう。従来システムを使った仕事とこれからの仕事の所要時間を比較し、楽さや簡単さを明示すると理解を示してくれるはずです。
不安の壁を乗り越えるには
だれでも新しいことは不安なものですが、新しいシステムに必要以上に不安を持つ人は、自分が認められることの優先順位が高いタイプや自分の能力に不安を持っている方が多い傾向があります。そのような方は、たいてい潜在的な自分への自信が低く、他人のできない煩雑な仕事をうまくこなすことで、周囲から受け入れられているという自己認識を持っている方もいます。こんなとき「今のやり方ではダメ」という言い方をされると、自分も否定されたような気持ちになってしまいます。
不安の壁を持つ方には、DXが進んでも自分の存在価値が失われないと感じられるように、相手を肯定することが大切です。そもそも細かなコツも飲み込んでいる優秀な人材ですから、DXにも積極的に参加してほしいと伝えれば、承認欲求をみたせます。ただし、今までの自分のやり方にこだわりが強いことも多いのでバランサーとなる人を用意しておく方がいいでしょう。
販売管理と生産管理を連携させるなら鉄人くん
製造業では販売管理業務も重要です。生産管理とクラウドでつなげばメリットは大きくなります。DXに心理的壁を持つ人たちもいますが、うまく対策して2025年の崖を乗り越えて今後も事業を継続させていきましょう。
クラウド型生産管理システム「鉄人くん」がおすすめです。設定がシンプルなうえサポートもしっかりしていますから、はじめてDXをすすめようという企業にもおすすめできます。販売管理と生産管理をつなげる視点で、もっとビジネスを加速させていきましょう。
トライアルキャンペーンも実施していますので、生産管理システムの導入を検討してみたいとお考えの方は、こちらからお気軽にお問合せ・ご相談ください。