製造業において、原材料、部品の調達は、生産に大きな影響を与えます。
新型コロナウイルスや災害など予測不能な事態に、部品供給不足に陥り、生産が滞ってしまうといったリスクが、浮き彫りになりました。
製造工程のグローバル化が進み、不確実性の高まる時代に、企業が生き残っていく基盤ともいえるのが仕入管理です。
この記事では、製造業の仕入管理業務の流れと改善方法について紹介します。
製造業の仕入管理とは?
仕入管理とは、販売する商品や、部品、原材料などを発注し、届いた商品を発注データと照合させて検品するなど、仕入に関する一連の流れを管理することです。
製造業においても、部品や原材料を元に商品を完成させるため、仕入を欠かすことができません。必要以上に仕入れてしまうと、工程が変更になった場合には過剰在庫となり、仕入が不足すれば、製造や販売が滞ってしまい、企業の損失にもつながります。
さらに、部品や原材料の仕入れ価格も重要で、仕入れ値が安ければ安いほど、利益が増え、企業の競争力強化にもつながります。
このように製造業の仕入管理は、完成品を販売し利益を得るためのスタートラインとなり、企業の生産性や利益に大きく影響を及ぼすため、適切に管理することが重要です。
仕入管理の業務プロセス
仕入管理には、「見積もり依頼」→「購買契約の締結」→「発注」→「入庫・検収」→「支払い」の業務プロセスがあります。
見積もり依頼
仕入れ業者と取引を行うにあたって「見積り依頼」をします。
仕入価格は、業者によって違っていたり、既存の取引先であっても、価格が変動する可能性があります。
また、仕入価格が高騰した場合、製品を加工するコストが同じであっても、利益が減少してしまいます。
コストを抑えたり、部品供給不足に陥らないためにも、既存の取引先だけに頼らず、他社へも積極的に見積り依頼を行い、比較検討することも重要となります。
購買契約の締結
仕入れ業者から発注を行うにあたって「購買契約の締結」をします。
一般的に、単発の発注を行う場合は、見積り内容に合わせた発注書を作成しますが、継続して発注を行う場合は、仕入先と取引を開始する前に、取引する上での条件を取り決め、企業間で購買契約を締結します。
締結後に、社内で取引先を管理するための仕入先台帳を作成します。
購買契約の取引条件
- 契約期間
- 機密保持
- 保証
- 支払い締日
- 支払い日
- 支払い方法
- 解約条件
その他、様々なトラブルが生じる場合もあるので、クレームに関する対応についても、事前に取り決めしておくことで、後のトラブル防止となり、取引をスムーズに行うことができます。
発注
仕入れ先に商品の注文を行うにあたって「発注」をします。
発注は、購買担当者が、発注書(注文書)を作成して行います。
自社の規模が大きな組織の場合、企業内で複数の購買部門や担当者が分かれており、各部門の在庫管理担当者が、購買依頼書を作成し、購買担当者へ送ります。
また、仕入れ先が複数ある場合は、購買担当者が、購買依頼書より仕入れ先を選定し、発注書(注文書)を作成して発注を行います。
この発注業務は、一般的な流れであり、企業の規模や業種により異なります。業務フローを見直し、自社に合った最適な取り組みを実施することが重要です。
入庫・検収
発注商品の受け取りを行うにあたって「入庫、検収」をします。
仕入れ先から、注文した商品が「入庫」してきます。商品が入庫したら、納品書や受領書を受け取り、入庫した商品と納品書に記載されている内容に相違がないか、納品書の過不足や不良品を確認し商品の受け入れをする「検収」を行います。
検収確認事項
- 商品
- 数量
- 品質
- 納期
これらに問題がなければ、受領書に確認印を押し、納品書の控えや受領書を仕入れ先に渡すことで入庫、検収が完了となります。
支払い
仕入れを行うと商品代金が発生するのにあたって「支払い」をします。
1度の単発取引であれば、1回ごとに、その都度請求書が届きます。
仕入れ先との取引が継続して複数の場合は、締め日でまとめた請求書が届きます。この支払い方法は、あらかじめ購買契約時に取り決めしているので、契約書などをもとに適切な支払処理を行う必要があります。
また、支払いの振込み手数料は基本的に発注側が負担しますが、逆の場合もあります。
支払いの締めごとに、支払明細書などを発行することで、返品や納期の変更などがあっても、取引先と請求金額の再確認ができ、トラブルを未然に防ぐことができます。
製造業の仕入管理の課題
製造業の仕入管理でよくある課題が、「適正であるか」「人的ミス」「業務の効率」です。
仕入管理は、仕入れする部品や原材料が良質であり自社の製造に適しているか。仕入れ価格や数量が適しているか。仕入れのタイミングは適切か。など、企業のニーズに対して適正であるかが重要です。部門ごとに発注していると、担当者がそれぞれ別に管理していることも多く、同じ商品を発注しているのに、価格交渉を実現できていないこともあります。
エクセルや紙媒体で仕入管理している場合、発注が、どの部門で行われたのかを整理するだけでも大変で、発注ミスや、入力ミス、支払いが遅れてしまうなどの人的ミスも発生する可能性があります。さらに、業務効率が悪く、特定の担当者だけが業務の内容を把握していて、退職や配置換えの際にスムーズな引き継ぎができないといった業務が属人化してしまっている可能性もあります。
製造業の仕入管理を改善する方法
在庫管理を効率化するためには、「仕入管理のマニュアル化」や「仕入管理システムの導入」が有効です。
仕入管理のマニュアル化
仕入管理の仕組みやルールを明確にし、業務プロセスや、業務フロー、発注をかけるタイミングや発注量などのルールを視覚化することで、企業内で迅速に共有することができます。
視覚化したデータをもとに、適正な仕入を行えているかを、定期的に見直していくことが大切です。
仕入管理システムの導入
エクセルや紙媒体で仕入管理していた場合、記入ミスや発注数の間違いなどの人的ミスや、業務の属人化が起きる可能性があります。
仕入管理システムを導入することで、属人的な業務を減らし、発注から仕入までの管理を誰でもスムーズにおこなうことができ、在庫数や必要な商品数も一元で管理できるようになります。
その結果、仕入管理の課題である人的ミスによる余剰在庫や欠品のリスクを軽減でき、業務効率化による担当者への業務負荷も減らすことにつながります。
まとめ
今回は「仕入管理とは?製造業の仕入管理業務の流れと改善方法」について紹介しました。
製造業では、部品・原材料を仕入れなくては、製品が完成できず、部品を仕入れた時点でコストが発生し、完成品を販売するまでは売り上げにはなりません。このため、仕入管理は企業の生産性や利益に大きく影響を及ぼす可能性があり、生産管理と密接な関係があります。
そのため、これらを一括して行うことができる生産管理システムを導入すれば、仕入れ情報を1つ入力するだけで、部門ごとの仕入情報の確認や、やり取りなどの業務を軽減することはもちろんこと、企業のあらゆる業務の効率化が一度に行える可能性があります。
業務の効率化が実現すれば、市場予測、スムーズな承継、人材不足の解消、生産性の向上など、企業の大きな成果につながります。
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