製造業が無駄を減らし、効率をあげるためには在庫管理が大切です。手軽に在庫管理をするために、無料のアプリやエクセルの使用を検討する事業所も多くなっています。中には在庫管理を始めようと思っていたのに、エクセルファイルやダウンロードしたアプリを放置している方もいるのではないでしょうか?当たり前ですが、在庫管理システムを導入しても、運用しなければ無駄は減りません。
この記事では、気軽に始めやすい無料の在庫管理方法について、それぞれのメリットとデメリット、無料だからこそ知っておきたい知識を紹介します。
在庫管理のメリット
在庫管理のメリットは物の動きが見える化できることです。物が見える化できれば、①在庫を増やしすぎることがなく、②発注が遅れず欠品リスクが低下し、無駄を減らすことができます。
在庫管理の方法
在庫管理を方法別に大きく3つに分けて説明します。
1.帳簿による在庫管理
昔から在庫管理で行われていた方法です。ノートやファイルを用意し、物品の出納簿をつけて在庫を管理します。手計算で行われるため、ミスは多くなりがちです。
2.自社プログラムによる在庫管理
一昔前は、自社独自のプログラムを使用して在庫を管理する会社が多くありました。プログラムは設備会社から提供されることも多く、会社ごとの事情に合います。またセキュリティについても外部につながらないので安心だと言われます。しかし専用の端末を用意する必要がある場合が多く、バージョンアップに弱い事例も発生しています。
現在でも、エクセルマクロやアクセス下敷きに使用した自社プログラムは、多くの会社で使用されています。
3.アプリによる在庫管理
在庫管理用のアプリケーションやソフト、プログラムを使用して在庫管理をするのは、もっとも簡単で間違いのない方法です。ちなみに、ソフトはプログラムを含めた構成要素すべてであり、アプリケーションは、できあがったものを指します。この記事では以降はアプリと表現します。
アプリの短所は、できあがっているので融通が利かないことです。市販のアプリを使用する場合、使用者のほうが合わせる場面も出てきます。ピッタリするようにアプリのカスタマイズも可能ですが、それなりに金額がかさみます。
無料で在庫管理を始める方法
できるだけ費用をかけずに在庫管理をしたい気持ちは誰にでもあります。ここでは無料で在庫管理を始める方法をあつめました。
1.帳簿を作成して在庫を管理する
ノートなどに在庫の出納を記入する方法です。ノートを買えばノート代はかかりますが無料に近い方法と言っていいでしょう。
この方法は昔からの方法で、いまだに、帳面をつけている方式で管理しているところもあります。
人の手による方法で間違いやすいので、半年に1回の棚卸が欠かせません。PCでもスマホでも、この記事が読めるのであれば、今さら帳簿を紙で作成する方法は、おすすめしません。
2.エクセルなどでプログラムを作成する
プログラムをエクセルで作成する場合、自社で作成する方法のほかに無料のテンプレートを使用する方法があります。どちらの方法もセキュリティ対策は自己責任で行うのが前提です。
①自社で作成する
自社で最初から作成する方法では、思い通りに作成できるのが魅力です。SUMIF関数やVLOOKUP関数、VBA関数を使用してプログラムを組めば、販売しているプログラムと遜色のない在庫管理表を作成可能です
この方法には一定のスキルが必要ですが、現在は「在庫管理表 エクセル 作成」などで検索すると作り方もたくさん出てきますので、やる気があれば実現可能でしょう。
しかし、Excelの関数やマクロの知識を検索することのほかにも、自社で必要な項目を選び作成する必要があるので,かなりの工数を覚悟する必要があるでしょう。
運用までの時間は、管理品目の多さに比例し、それだけプログラムが複雑になり,順調に動くまでの時間が必要です。最悪の場合、完成できないこともあります。
順調に運用を始めたとしても、担当者の病気や異動に移動があると、わかる人がいなくなり、使えなくなるリスクを覚悟しておきましょう。
OSをバージョンアップに弱いのもこの方法のリスクです。
②無料のテンプレートを使用する
無料のテンプレートは、「Excel 在庫管理表 テンプレート」で検索すれば色々出てきます。その中で自社にあったテンプレートを使用すれば運用までの時間が節約できます。
しかし、まったく自社と条件があうテンプレートはないと思った方がよく、妥協が必要です。無料のテンプレートを自社で修正するのは、時間のかかる作業になります。
無料のテンプレートは、サポートがない場合が多いので、OSのバージョンアップには対応できないことが多いことも承知しておきましょう。
エクセルでプログラムを作成し在庫管理をするときのポイント
エクセルでプログラムを作成して在庫管理をする場合のポを以下にまとめました。
- 作成にある程度時間がかかる
- セキュリティは自己責任
- 担当者の移動に弱い
- OSのバージョンアップに弱い
3.無料アプリを使う
製造業で使える無料のアプリとして3つ紹介します。
いずれも、インターネット接続によって、システムやソフトウェアを利用するクラウド型のアプリです。クラウド型では社内にサーバーが必要ありません。
①クラプロ-在庫管理 無料プラン
導入企業が600社を超えるクラウド型の在庫管理アプリです。無料プランは1ヶ月入出荷50件までと制限されていますが、その他は有料プランと同様に使用できます。無料プランでも同じ組織ならば、複数メンバー、複数拠点で同時に作業することが可能なのが魅力です。
②クラウド在庫管理ソフトZAICO 無料版
150,000人が使用しているクラウド在庫管理アプリです。200件までのデータ登録と簡易検索機能が無料です。無料でも画像が登録でき、単一キーワードの検索ができます。
③ロジクラ 無料版
導入企業10,000を突破するクラウド型の在庫管理アプリ、ロジクラの無料版。入荷管理・出荷管理・在庫管理が利用できます。無料版でも商品登録数は無制限に可能です。月間出荷数は300まで、1拠点のみとなっています。
無料のアプリをダウンロードして在庫管理をするときのポイント
- クラウド型の在庫管理アプリ有料版のお試しといった意味合いが強い
- 登録件数、拠点数、入出庫件数のどれかに制限あり
- トラブルがあっても損害請求は無理だと思っておいた方がいい
- もし有料版にする場合は、同じプログラムを使用することになる
無料で在庫管理をするとき知っておくこと
無料在庫管理の方法を以下にまとめました。
無料であるということは、保証がないということだと覚えておきましょう。トラブルになっても自己責任か有料プランへの乗り換えを必要とします。
また、使用までに時間がかかり人件費が必要です。アプリであれば、使用の制限が自社にあっているか確認して始めましょう。
有料アプリで在庫管理をおこなう4つの利点
最後に有料アプリでの在庫管理にも触れておきます。導入後に考えると、無料より有料のアプリのほうが得だったということも多いものです。
有料アプリには無料にない利点があり、無料の在庫管理を検討している場合でも、有料のアプリも比較検討をおすすめします。本当に無料のほうが得なのか納得して導入しましょう。後悔しないためにも、ぜひ試算してみてください。
1.有料アプリはシステム型の選択が可能
無料のアプリは、クラウド型しか選択できませんが、有料のアプリではクラウド型にするか、オンプレミス型にするかを選択できます。前述しましたが、あらためて両者の違いを説明します。
①クラウド型
無料のアプリでも説明しましたが、クラウド型はインターネット接続によって、システムやソフトウェアを利用する方式です。
社内サーバーの用意がない場合やサーバーのメモリ不足に困っている場合にも導入できます。使用人数でプランが変わり料金が変わり、条件によっては少額の投資でスタートできます。小規模の事業所で使用人数が少なく、コストを抑えたい場合にはクラウド型がおすすめです。
政府の機関は2021年12月よりクラウドオブデフォルト原則がとられ、クラウド型が導入されています。また、クラウド型ならサーバー側でセキュリティ対策やアップデートも行われるため、常に最新のバージョンが安心して使用できます。
②オンプレミス型
オンプレミス型は、通常業務に合わせたカスタマイズされた専用システムを開発する場合に使用されます。自社のネットワーク内に置いて利用するので、すでに社内のネットワークが整備されている中~大規模の事業所では導入が容易な方式です。
機能のカスタマイズや、他のソフトウェアとの連携といった対応も容易に可能ですがコストがかさみます。利益の大きく出る大規模事業者であれば、そのコストも相殺され、メリットが大きく出ます。
2.有料アプリはマニュアルが充実している
無料のアプリはマニュアルが脆弱なこともありますが、有料のアプリはそんなことはありません。
マニュアル以外にもQ&Aや電話サービス、チャット機能、クラウド型であれば遠隔操作を用いてのレクチャーなど様々な方法で使用方法を知ることができます。
3.有料アプリは人件費が少なくて済む
有料のアプリは、無料アプリを使用するときに比べて、手間がかからずトラブル時の対応もメーカーに依頼することができます。
そのことで社員の時間を在庫管理に使わなくて済みます。
製造品にかかるコストの中で、人件費は大きな比率をしめます。これから学びながらシステムを構築するのと、スキル取得済みのプロがシステムを構築するのでは、作業時間も能率も大きく違うことでしょう。
4.有料アプリは選択肢が多い
参考記事はこちらをご覧ください。
一説によると、在庫管理のアプリだけでも100近くあるそうです。なかには製造業には向かないアプリもあるでしょうが、自社にピッタリの使いやすいアプリもあるでしょう。
無料と言うことにこだわりすぎると、みすみす自社にあわない在庫管理を続けるリスクも負いかねません。
- 無料で始めたい人は有料のメリットも知って、納得して始めよう。有料アプリには、データのバックアップやセキュリティ対策、トラブル対応など、無料と比べ利点があります。
- 在庫管理で節約できるコストと有料アプリやプログラムの使用量を比較して、黒字化できるのであれば有料のアプリを使う選択肢もありではないか?
社でシステム構築や保守運用できる人材がそろっている場合は、オンプレミス型での運用も対応可能です。利用人数が増えるほど、一人当たりの単価が抑えられるため、中規模~大規模な組織を有する企業にも適しています。
有料アプリで在庫管理をおこなう4つの利点
- システム型の選択が可能
- マニュアルが充実している
- 人件費が少なくて済む
- 選択肢が多い
無料の在庫管理はデメリットを知って始めよう
無料で在庫管理をおこなう方法を紹介し、メリットとデメリットを説明しました。スキルや時間、また自己責任の必要性、機能制限など無料の方法には、見逃せないデメリットがあります。無料で始めようとするなら、デメリットを知って在庫管理を始めましょう。
もし、デメリットを避けたいなら、有料のアプリを導入する選択肢もあります。クラウド型なら初期費用もランニングコストも思ったよりかからないことも多くなっています。無料で始めたいなら、有料も考慮に入れてデメリットが自社にどう響くかを知ってから始めることをおすすめします。
低コストな有料の在庫管理アプリも検討しよう
今回は、無料/有料それぞれのおすすめ在庫管理方法をご紹介しました。
有料といっても、最近はクラウドベースのサービスが増えており、初期費用や毎月の利用料金も非常に安価になっています。また、多くの在庫管理ソフトが無料版や無料トライアル期間を用意していますので、まず無料で試した後、自社に向いていると判断できたら有料版にアップデートするというのもよいでしょう。
クラウド型生産管理システム「鉄人くん」は、
わかりやすい画面と手厚いサポートで、システムが初めても企業でも使いやすくわかりやすいのが特徴です。
また、トライアルキャンペーンも実施していますので、生産管理システムの導入を検討してみたいとお考えの方は、こちらからお気軽にお問合せ・ご相談ください。