倉庫を管理する上で知っておきたいのが「ロット管理」という管理方法です。この記事では、倉庫管理におけるロットの概要、ロット使い方、ロット管理の方法や注意点、ロット管理を行うことで得られるメリットなどを1つ1つ詳しく解説していきます。
製造現場におけるロットとは?
ロット(Lot)とは、同じ条件で製造される製品の数量や出荷数量の最小単位として用いられる言葉で、商品を管理していくことを指します。生産ラインではロット単位を用いて製造管理を行うところもあり、生産管理を行う際に必要不可欠な用語です。
ロット管理が使用される場面は「商品の製造現場」と「商品管理を行う倉庫」で、取扱量が多いものや生産頻度・出荷頻度が高い商材に採用されることが多くあります。
ロットの数は一般的に取り決めはなく、各会社や倉庫ごとに独自に決定した数を1ロットとして決めることができます。そのため、例えば現場によって、1ロットが5個の場合や10個の場合があります。
管理や製造の現場で商品をロット単位で取り扱うことで、大量の製品を扱っていても、全体数の管理を比較的かんたんに行うことができます。
ロットの使い方
ロットは製造、販売、管理の各工程において使い方が異なり、大きく分けて以下のような種類があります。それぞれを詳しく解説します。
- 製造ロット
製品の製造現場において、現在の需要や受注量をしっかり把握した上で計画的に製造していく必要があります。その際に、基準となるのが「製造ロット」と呼び、この製造ロットによって製品の生産量を調整します。同じ製造ロットで生産された商品については、すべて同一条件でつくられたものになります。したがって、万が一不良品が発生した場合は同じロット番号を探せばすぐに不良品の特定が可能です。製造ロットに基づいて生産を行う理由として、在庫過多による余剰在庫の防止や、人件費や原材料費の削減において、重要な役割を担っていて、健全な事業運営の観点でも重要な指標と言えます。 - 購入ロット
商品を取引先へ販売される際に、指定する販売数のことを「購入ロット」と呼びます。
購入ロットは取引先との関係に大きく関わってきて、効率的に利益を生み出していくために重要な考え方とされています。例えば、販売価格を安くしてその分購入ロットを多くするなどの調整が可能になります。
購入ロットは、自社で決める場合と取引先との交渉によって決められる場合があります。柔軟に対応できることもありますが、一方的に要求を通すのではなくお互いの利益となる交渉が必要と言えます。 - 最小ロット
「最小ロット」は商品の製造工場が1回の生産で作れる最小数量や重さを、生産性とコストの両面から検討して決定する単位になります。最小ロットは販売目線と製造目線の両方から検討を行い、「製造」と「販売」をするときの最低限の数量となります。
最小ロットも自社で設定できる場合と、購入者側との交渉によって設定する場合があります。
ロット管理の方法
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ロット番号を振り、同一ロットごとに保管する
ロット番号を基準に在庫管理を行う場合は、ロット番号を振り、ロット番号を印字し商品に貼ることで管理を行います。
印字やスタンプ、シールなどを商品に貼り付けて、同一ロットごとに保管し、入庫日や担当者情報、消費期限などの製品情報と合わせてExcelなどで入力・管理を行います。
ロット番号の管理を行う際は、今ある設備を使って簡単に導入することができるので、コストが比較的かからないことが一番のメリットと言えます。しかし、ロット番号とデータをセットで管理する作業の時間が大幅にかかることにより、業務負担が増えたり、人的ミスのリスクがあるとも言えます。特に、入出庫が激しい商品を管理する場合は、よりそうした危険性が高くなります。 -
在庫管理システムを導入する
在庫管理システムは、管理が必要な商品毎に入庫用バーコードを貼り付け、さらにハンディターミナルを使って商品のロット番号を読み込むことで、正確な情報管理が行えます。また、出庫の際も同様に、バーコードを読み込むことで、出庫情報がリアルタイムに同期されます。
在庫管理システムの導入により、それまで手作業で行っていた入出庫情報の入力作業工数を大幅に効率化したり、人的ミスを防ぐことが可能になります。また、在庫管理データは一元化されるため、正確な情報をリアルタイムに把握することもできます。さらには、システムで管理することによって簡単に同一ロットの商品の所在や状況を特定することができるため、例えば不良品の特定・追跡など、必要な時にすぐに商品の回収をすることも可能になります。
ロット管理のメリット
ロット管理を行なっていく上での具体的なメリットを挙げてみます。
在庫管理の効率化
ロット管理を行うことで、在庫管理の工数管理の効率化に繋がります。
ロットを使う場合は、ロット番号毎に商品の製造日時や消費期限、入庫日などの情報をまとめて管理し、同一ロットで管理されている商品は、原則同じ状態で製造・入庫がされています。これにより、1つの商品を確認するだけで全ての商品の状態や消費期限などの商品情報を一気に把握することができます。一見同じ商品に見えても、製造日などにより商品の性能がバラつく場合があります。このときに同一条件の商品管理ができるロット管理を導入していれば、全て同じ状態の商品を納品が実現します。特に半導体を扱う業界等では頻繁に行われ、取引先から同一ロット単位で納品指定されるケースもあります。
また、ロット管理を行うことにより、倉庫管理の基本である商品の先入れ・先出しが簡単に導入できます。
在庫過多などのロスやコストを削減できる
ロット管理を行うときに、製造する最低数量を決めて生産・管理を行います。その際に需要と供給や作業効率などを検討することで、余剰在庫による作業効率の下降や商品品質の劣化などを防ぐことができます。
製造する最低数量をコントロールせずに生産を行えば在庫過多となり、倉庫内の回転率が悪くなり商品が劣化してしまう可能性が高まります。それにより結果的に商品価値が暴落したり、最悪の場合商品として売ることができず廃棄せざるを得ない状態になることが予想されます。
適切な製造最低数量を設定する事により、設備の電気代や倉庫のデッドスペースの削減など無駄な生産を抑え、コスト削減を実現できます。
不良品を特定しやすい
ロット管理を行っていることで、不良品の特定や追跡を行うスピードをより早く、的確に行えます。
ロット番号によって商品製造の原材料、製造、倉庫への入荷〜出荷までの過程を全て記録しているため、例えば一つ不良品が見つかった際に、同じロットの商品はすべて不良品であるという判断ができます。また出荷先の記録も残っていることで、該当商品をスピーディーに回収することが可能です。
ロット管理を行い、不良品を素早く特定・回収を行える状態を作っておけば、取引先から不良品の連絡があった場合も、同じロット番号が付いている商品は全て回収することができます。トラブル発生時に迅速な対応し、トラブルを最小規模に収めることができます。
まとめ:ロット管理の方法
ロット番号を基準に保管作業を行う
ロット番号を印字し、商品に貼ります。同一ロットごとにまとめて保管することで、効率良く整理整頓された作業環境を作れます。
ロット番号の印字と貼り付けは工数がかかるため、作業工数や担当者の負担を減らせるよう、明確な役割分担を心がけることがポイントです。
在庫管理システムを導入する
ロット管理には様々な工程があり、データ入力作業の工数が大幅にかかったり、人的ミスが発生しやすくなってきてしまいます。これらのリスクを回避するためにも在庫管理システムの導入も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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