顧客満足度は主にサービス業で使う指標ですが、製造業においても大切です。では、顧客満足度を向上させるために最も大切な工程は、何かご存知でしょうか?
それは、顧客と最初につながる受注です。受注は企業のファーストインプレッションを決めるので顧客満足につながりやすいのです。継続的に顧客を満足させるのは困難な課題ですが、システム化が助けになります。顧客を満足させるためのシステムにはポイントがあります。
ここでは製造業が顧客満足度の視点で受注管理システムを選ぶポイントを解説します。
顧客満足度とは
顧客満足度は主にサービス業で使われる言葉です。もとはアメリカの概念で「Customer Satisfaction」略して「CS」とも称されます。「期待不確認理論*」を支柱として、顧客満足を指数化する考え方です。
企業が継続して成長していくためには、商品に満足する利用者を増やし、将来につながるユーザーを獲得する必要があります。その際に参考となるのが顧客満足度です。
製造業においても、消費者やメーカーなどの顧客にフォーカスしてビジネスを動かすことは重要です。顧客満足度を軸にすると、企業の長期的な継続に視点を向けることができます。
顧客満足の必要性
顧客を満足させることは、企業の長期的な継続にとって必要なことです。顧客を満足させ、自社の利益も確保するWIN-WINの経営が行われなければ、企業は成り立ちません。
長期的には、どんな製品を作っていたとしても、顧客満足を志向する必要があるのです。企業が利益を上げ続けるためには顧客満足度の維持・向上が欠かせないのです。
顧客満足に必要なこと
では顧客満足に必要なことはなんでしょうか?それには以下の3点が必要です。
- ニーズを満たすこと
- 潜在的ニーズを満たすこと
- 継続的に顧客を満足させること
顧客は、単にニーズを満たすだけでは満足しません。潜在的なニーズを満たす必要があるのです。そして、それを継続することが大切になります。
例えば、ある製品が1週間の納期で納品される場合、1週間で納品されれば満足であると思いがちですが、果たしてそうでしょうか?1〜7日のバラバラな納期で納品されるとすれば、顧客は混乱するでしょう。
納品となれば受け手にも準備があります。1週間後に棚が空くと予想して注文したのに、まだ置くべき棚がないかもしれません。
納期以内で納品されていますが、相手のストレスになり、満足度が下がってしまいます。
製造業と顧客満足度
製造業で顧客満足度を左右する要素について瓶入りのドリンク剤を例にあげて、詳細に説明しましょう。
ニーズを満たすこと
1. 求める品質を満たすこと
製造業では、製品の品質が優先されます。顧客にとっては、想定された品質を提供することを求めて、商品を購入します。
例えば、瓶のドリンク剤を例にとれば、
- 想定した瓶・キャップ・ラベル
- 強すぎず弱すぎない力でキャップが開く
- 想定した味がする
- 異物混入がない
- なんとなく効いた気がする
などが求める品質にあたるでしょう。
2.ストレスなく手にできること
ストレスなく手にできることもニーズを満たすには必要です。先にあげたドリンク剤を、また例にあげると
- 近くのドラッグストアにある
- 近くの薬屋にある
など、欲しいと思ったときに、ストレスなく手にできる必要があります。
妥当な価格で提供すること
価格も満足の要素です。日常的に飲むことを想定されるドリンク剤であれば、毎日飲める安さもニーズを満たすことにつながります。
潜在的ニーズを満たすこと
潜在的ニーズを満たすことは、ニーズを満たすよりも少し難しいかもしれません。そのために顧客視点が必須条件になります。前項と同様にドリンク剤を例にあげて説明します。
1. あればいいと思っている品質を付加すること
- 夏の暑い日には冷たく冷やしておく
- 冬には、冷やさない製品も用意する
2. 思ったように手にできること
- コンビニエンスストアに置く
- 自販機で販売できるようにする
3.「自分は得をした」と思える価格
価格は、想定を越えた潜在的ニーズを満足させることが大切で、単に「安価だから」とは違います。付加価値をつけることでもお得感を演出できます。
継続的に顧客を満足させること
顧客を常に満足させることでしか信頼は生まれません。信頼を積み上げていくことが顧客満足度を向上させる最後の、そして最も大切なカギです。信頼は築くのが難しく、壊れるのは一瞬です。継続的に顧客を満足させることは、たやすいことではありません。時代とともに変化する顧客のニーズに対応しながら、信頼を勝ち取る姿勢を貫くには、常に安定した企業努力が必要になります。
- 常に安定した品質であること
常に安定した品質を実現するのは難しく、不良をゼロにするのは、ほぼ無理です。
それでも、工程ごとにリスクを考察し回避方法をとり、可能なら全数検査を行い、工程の能力を維持することからしか不良は削減できません。つねに、リスクを最小限に抑える努力を続け、前に進む必要があります。
そのためには、生産全体を管理する視点を醸成し、異常や苦情を隠蔽しないシステムづくりが大切です。
- 常に手に入ること
常に顧客に製品を提供し続けることは、発注された納期を厳守することでもあります。ケアレスミスを防ぐために、人による管理だけでなく、煩雑な受注管理をシステム化する必要があります。
- 常に安定した価格であること
一時期「卵は物価の優等生」などと言われることがありましたが、常に価格が安定していることも顧客満足度を向上させる要因です。コスト意識を持ち、安定した価格で製品を提供し続けるのは、信頼を勝ち取るためには必要な要素です。
“常に安定”を支えるシステム化
継続的に顧客を満足させるためにはシステム化が最適です。人間は「常に」「継続的に」を実施するのに向いていません。
「常に安定」を実現するためにはシステム化を行って、人間の不安定性を補うとうまくいきます。
顧客満足の入り口は受注
顧客満足の入り口は受注です。受注は顧客と直接つながる工程だからです。
受注管理が顧客満足度を左右する
まず顧客が購入を決定し、企業と最初に接触するのが受注工程です。顧客は自らの経験に基づいて、受注品質の印象を持ちます。いわば、受注は企業へのファーストインプレッションです。人間関係と同様にファーストインプレッションは、その後の印象を大きく変化させます。
そして、一度悪い印象を持つと、良い印象に変化させるのは難しいのです。受注管理のシステム化は他の工程よりも重要であるといえます。
顧客満足度を向上させる受注管理ソフトとは
受注管理をシステム化するときには、システムの中身にもこだわりましょう。顧客満足度に関しては、今後に大きな差が出ます。製造業で特に必要なポイントを説明します。
1.受注管理は検索機能つきがマスト
受注管理は検索機能があるべきです。受注は1回きりとは限りません。お得意様であれば、何年も前の受注履歴が必要になる場合もあります。「いつもと同じ納品先で」と言われ、過去のノウハウを活用する必要もあります。
「前回の注文と一緒に納入してほしい」「前回の発注と同じ仕様でつくってほしい」と言われることは多いものです。
そんなとき便利なのが検索機能。検索機能があれば、タイムラグがある顧客の注文を一緒に出荷することも、前回の仕様で商品を納品することも簡単にできます。
2.受注管理は場所を選ばないタイプが間違いを少なくする
受注機会を逃さないためにも、受注管理システムは、「いつでもどこでも」使用できるのが心強いでしょう。
口頭で受注はしたものの、生産につながらないというミスを防ぐには、受注後すぐに入力できるシステムが役に立ちます。
3.受注管理は在庫管理もシステム化する
受注管理をスムーズに行うためには、在庫の把握が必要です。受注した後で在庫がないとなると、顧客からの信頼は、一気に下がるでしょう。
受注管理システムを導入するならば、在庫管理も同様にシステム化する必要があります。
4.受注管理は生産管理もできるほうが顧客満足につながる
また、受注管理システムであっても、生産管理の状況が確認できれば顧客満足につながります。
生産現場の状況が受注時に把握できれば、納得感のある説明が行えます。また、生産も考慮できる受注という印象は、顧客に信頼を持たれるでしょう。
5.システムを導入するならコスト目線も必要
製造業は、常にコストを考慮しなければなりません。業態です。システムを導入する場合にもコスト目線も必要です。初期費用、運用コストともに考慮して自社にあったシステムを導入しましょう。
例えば、システムの型にも注意が必要です。
従来のオンプレミス型では初期費用が高価なうえ、アップデートやバックアップにも費用がかかります。システム担当者も必要で、人件費もかさみました。
近年もてはやされているクラウド型であれば、初期費用は無料か低額のことが多く、月々のランニングコストは必要ですが、アップデートやバックアップが含まれます。使用容量も莫大です。
セキュリティ対策も専任のチーム体制で行われ、信頼性が高くなってきています。
顧客満足度を向上させるための受注管理システムに必要な5つのポイントとは
以上のポイントを簡単にまとめると以下のようになります。
- 検索機能つき
- 場所を選ばない
- 在庫管理ができる
- 生産管理ができる
- コストが安価
製造業向き受注管理システムの例
これまでに説明した5つの特性を備えたシステムのうち、例として、製造業専門クラウド型生産・販売管理システムの「鉄人くん」をご紹介します。
「鉄人くん」は、製造業専門のシステムとして発売されています。販売管理システムには、受注管理システム以外にも以下の機能が含まれています。
- 在庫管理システム
- 請求書管理
- 履歴管理
- 受注・仕入管理
- マスター管理
- 売上管理
- 納品書・ラベル
また、場所を選ばず受注ができ、生産管理の状況も確認できます。クラウド型で使いやすく、顧客満足度を向上させるシステムといえるでしょう。
受注管理システムを賢く選んで顧客満足度を向上させよう
顧客満足度は製造業においても、注目すべき指標です。受注は顧客とのつながりの最初の段階で、ファーストインプレッションを左右します。顧客満足度を向上させる目線は受注管理システムの導入に欠かせないものです。まずは、ご紹介した5つのポイントを考慮してシステムを選ぶことから始めてみませんか。
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