ねじの規格には、大きくわけてインチねじ、メートルねじ、管用ねじの3種類あります。その種類の中から規格寸法の違いでさらに細かく分かれています。
インチねじには、ユニファイねじ(並目、細目)、ウィットねじがあり、1インチを8等分したサイズで表されています。メートルねじ(並目、細目)は、国内で多く使用されているねじで、メートル単位のサイズで表されています。管用ねじは、ねじの中でも水道管などの配管類や管用部品を接続・結合するために用いるもので、管用テーパーねじ、管用平行ねじがあり、これもインチで表されています。
種類ごとにサイズが決まっているので、見た目では同じように見えても、いざ使用すると、サイズが合わないこともあります。
今回は、現在では日本産業規格(JIS)から除外されていますが、今でも建設・電気・水道・空調設備などの業界で、ボルトやナットが使用されている、インチねじの種類「ウィットねじ」について紹介します。
ウィットねじとは
ウィットねじは、1841年イギリスのサー・ジョセフ・ウィットウォースが考案したねじで、ねじ山の角度が55度あるのが特徴です。1968年に日本産業規格(JIS)から除外されていますが、現在でも建設・電気・水道・空調設備などで使用されています。
ウィットねじの規格表示
ウィットねじを表す規格記号は「W」。インチ表示は、1/8、5/32、3/16、1/4、5/16、3/8、1/2、5/8、3/4、7/8、1”、1”1/8・・・と、1”(いちインチ)を基準に倍数で分けた分数で表示されています。
この記号「W」とインチ表示の組み合わせで、表示されています。
ねじのインチ表示の読み方は、「1/8」一分(いちぶ)、「3/16」一分五厘(いちぶごりん)、「1/4」二分(にぶ)、「5/16」二分五厘(にぶごりん)、「3/8」三分(さんぶ)、「1/2」四分(よんぶ)、「5/8」五分(ごぶ)、「3/4」六分(ろくぶ)、「7/8」七分(ななぶ)、「1”」1インチと読みます。
1インチ以上になると、「1”1/8」インチ一分(いんちいちぶ)、「1”3/16」インチ一分五厘(いんちいちぶごりん)・・・と、インチと合わせた繰り返しです。
「5/32」のインチ表示だけは、一分二厘五毛(いちぶにりんごもう)と読むところ、読みにくいため、(さんにのご)の読み方が定着しています。
ねじのピッチは、一般的なメートルねじの国際標準化機構(ISO)規格のピッチよりも粗くなっています。ねじのギザギザ部分がねじ山ですが、ピッチの大きさは、このねじ山の1インチ(約25.4㎜)あたりの数で表されます。
1インチあたりの山数は、「1/8」40山、「5/32」32山、「3/16」24山、「1/4」20山、「5/16」18山、「3/8」16山、「1/2」12山、「5/8」11山、「3/4」10山、「7/8」9山、「1”」8山
「1/8」40山の場合、1インチの中にねじ山が40個あります。25.4㎜を40で割ると、0.64㎜となります。これが、ピッチの大きさとなります。
インチからミリ単位への実寸計算方法
ウィットねじは、ねじの軸部分の太さのインチ数、または、1インチ(約25.4㎜)の中に、ねじの軸部分のねじ山がいくつあるかでサイズが表示されるインチねじです。インチねじは、インチを基準とした表示のため、ネジの太さを知りたい場合、ミリ(㎜)単位へ換算しなければ実寸がわかりにくいです。
ミリ(㎜)単位に換算するには25.4をインチ表示の分母で割って分子を掛ければ良いのです。
例えば、「1/8」をミリ(㎜)単位に換算するには、1インチは、25.4㎜で、1インチの1/8が一分となります。計算式に表すと、25.4㎜÷8×1で、約3.175㎜となります。これを基準に「1/4」は、25.4㎜÷4×1=約6.35㎜となります。
また、分母を8にそろえると覚えやすく、実寸の計算もしやすくなります。
一分「1/8」=25.4㎜÷8×1=3.175㎜
二分「1/4」=2/8=25.4㎜÷8×2=6.35㎜(一分の2倍)
三分「3/8」=25.4㎜÷8×3=9.525㎜(一分の3倍)
四分「1/2」=4/8=25.4㎜÷8×4=12.7㎜(一分の4倍)
さんにのご「5/32」=1.25/8=25.4㎜÷8×1.25=3.969㎜(一分の1.25倍)
一分五厘「3/16」=1.5/8=25.4㎜÷8×1.5=4.763㎜(一分の1.5倍)
二分五厘「5/16」=2.5/8=25.4㎜÷8×2.5=7.938㎜(一分の2.5倍)
まとめ
今回は「ウィットねじ」について紹介しました。
インチからミリへの換算は、基本の「1”(1インチ)=25.4㎜」を覚えておくことと、分母を8に通分することで簡単に実寸がわかります。
また、ウィットねじは、ねじ山の角度が55度です。
太さが同じで長さがそれほど長くないものは、ユニファイねじでもウィットねじでも使用可能ですが、メートルネジに、よく似た見た目のものがありますが、ねじ山の数や角度が違う場合は、合いませんので、ねじを組み合わせる際には注意が必要です。
参考にしてみてください。