生産管理システムをエクセルで自作してはいけない10の理由とは?

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生産管理システムをエクセルで自作してはいけない10の理由とは?

あなたの身近に、エクセルでなんでもできると思っている人はいませんか?もしかすると、あなたも思われているかもしれません。

工場内のシステムをエクセルで作成する企業もあるようです。生産管理システムは製造業の業務を統括する重要な働きをしています。生産状態の把握や効率化のために生産管理システムは欠かせません。もし、生産管理システムをエクセルで自作して使おうと思っているなら、ちょっと待ってください。確かに、エクセルは使いやすいソフトですが、エクセルにこだわることで失うものが多く、おすすめできません。

この記事では、生産管理システムをエクセルで自作してはいけない理由を紹介します。より、効率的でコストを浪費しない生産管理システムを運用したい方はぜひご一読ください。

生産管理システムとは

生産の効率化や事務処理、生産状況の把握をサポートするシステムを生産管理システムと呼びます。これは、モノづくりに関わる情報を一元管理することで、生産情報を活用し、より効率的な作業を構築するためのものです。生産管理システムには以下の管理システムやプログラムが含まれます。

【生産管理システムを構成するシステムやプログラム】

  • 工程・進捗管理
  • 納期管理
  • 図面管理
  • 外注管理システム
  • 自社管理システム
  • ガントチャート
  • QRコード管理

 

これらのデータが複雑に影響し合って、生産管理システムが動いています。

例えば、納期が早まった場合、納期管理のデータが変更されれば、生産計画が変化し、ガントチャートが変更されます。そして、その変更に基づいて進捗が管理され、納期までに製品出荷できるように用意されます。

この生産管理をいくつかに分割し、エクセルで自作しようとする方も多いようです。

 

エクセルは多くの人に使われている

BtoBサービスの比較メディアUtillyでは、全国の会社員、経営者、公務員300人を対象に、2022年5月に表計算ソフトの利用状況のアンケート調査を実施しました。

参照: Microsoft Excel(エクセル)が8割のシェア | 表計算ソフトの利用状況に関するアンケート (utilly.jp)

 

エクセルはもっとも使われている

調査の結果をみると85%以上の人が、エクセルを最も使用していると答えました。

 

エクセルは使いやすいと思われているが…

そして、そのうち80%以上の人が使いやすいと感じると答えています。

 

エクセルユーザーの約1割は他のソフトを使ったことがない

では、なぜ使いやすいと思っているのでしょうか?

45.4%は「慣れているから」、12.8%は「他のソフトを使ったことがないから」という答えで、機能そのものを使いやすい理由としてあげた人は2割ほどです。

エクセルが、どれほど日本社会になじみ、使われているかがわかるデータですね。

でも、他のソフトを使ったことがないというのは不安な結果だと思いませんか?エクセルを最善とし、エクセルばかり使っていて大丈夫なのでしょうか?

 

エクセルは表計算アプリ

エクセルは表計算アプリとして販売されています。計算したり、大量のデータをグラフにしたりして、データを検証するのに非常に適したソフトです。しっかり使うことができれば業務時間の短縮や、改善にも有効なツールです。

数字の打ち込みさえ間違えなければ、計算間違いの心配もありません。

エクセルが登場してから、とても楽になった業務は多いでしょう。あらゆる物品の在庫表はデータ管理され、一度入力してしまえば書式もデータも多用途に使用でき、効率的です。

そのうえ、Excel関数やVBAなどのマクロ機能を使いこなせば、プログラムも動かせる便利なソフトです。

 

神エクセルとは?

紙に印刷することを前提に作った書式を、俗に「神エクセル」という言い方をすることがあります。これは、あまり褒め言葉でなくエクセルを神のようにあがめて、なんでもエクセルでつくる風潮を揶揄したものです。

エクセルのセルの高さや幅を狭めて方眼紙のように使用し、必要に応じてセル結合をすれば、エクセルでも文書や書式が作れます。しかも、用紙にあわせた縮尺で、印刷までしてくれるのです。エクセルが便利だということで、あらゆる書式や図面までもが、一部エクセルでつくられていた時期がありました。

しかし、それは仕事を複雑にし、進化を妨げていました。

2016年に行革推進本部の河野太郎衆議院議員が文科省に対し、「神エクセル」の全廃を指示したと本人がTwitterで発信。そのことで、神エクセル問題は認知されましたが、いまだに「神エクセル」を見かけることがあります。

 

「なんでもエクセルを使う」リスク

神エクセルのような使い方や、プログラム、チェックシートなど、エクセルは「何でもできる」と言われ、もてはやされます。

でも、それは「できる」だけなのを見過ごしてはいけません。新しいやり方を導入するのを回避しエクセルを使うのは、「非効率的」であり、「時間がかかる」方法です。

「これだけの手間をかけてマクロを動かせるようにしたから」、「これだけのデータを入力したから」と、いままでの労力を無駄にしたくなくて、使いにくい自作のシステムに、いっそう手を書けていませんか?

もっと、早くて間違いが少ない便利なやり方が世の中にあるのに、「エクセルでできる」からと新しい方法を使わないのは、業務の停滞のもとです。

 

生産管理システムをエクセルで自作してはいけない10の理由

製造業の中でも、生産管理システムをエクセルで自作するのは、おすすめできません。

以下に、10の理由をあげました。では、ひとつずつご紹介しましょう。

 

  1. データに上限がある

2021年10月に発売された「エクセル2021」の上限は、1,048,576 行、16,384 列です。

つまり上限があるのです。メモリーが足りなくなると動きが悪くなり、100%は使えません。製造業に従事している方には実感としてわかるでしょうが、ひとつの製品を生産するには、生産機械のネジからプリンターインクといった消耗品まで、膨大な品目が関与しています。そして、工程ごとに、それぞれ管理しなければいけない項目があります。そして、毎日生産を繰り返してしていると、あっという間に時がたつものです。

エクセルで、生産管理システムを自作すると膨大なデータを使用するため、上限を気にする必要があります。

参照データ:Excel の仕様と制限 (microsoft.com)

 

  1. 立ち上げに時間がかかる

また、エクセルはデータが多ければ多いほど、立ち上げに時間がかかる仕組みになっています。プログラムにデータが蓄積すればなおさらです。もし、立ち上げ1回に3分かかった場合、定時生産で休憩後に立ち上げた場合1日2回で6分。年間労働日数240日で計算すれば、年間24時間がエクセルの立ち上げにかかっていることになります。

24時間あれば大きなデータでも処理できますし、報告書も書けます。

 

  1. 同じファイルを複数で同時に使用できない

エクセルはデフォルトでは、1つのエクセルファイルを複数人で同時編集できません。また設定を変更して同時編集できるのは、Excel2019以降のバージョンのみです。

また、生産管理システムで使いたい機能、同時に違う目的で同じファイルにアクセスして、それぞれに同じファイルを更新することはできません。

データ保管に関して同時性はないのです。これでは、生産管理システムとして現状をデータ化するには不十分です。

 

  1. 属人化が進む

エクセルは作った人の手から離れにくいソフトです。マクロやVBA関数を作成して完了ではなく、たいていの場合、他の人には触れないので、何か変更があるたびに作成者のメンテナンスが必要です。

これは仕事を属人化する原因になり、異動や急な休みで使えなくなるリスクを含んでいます。

生産管理システムは、生産に関わり権限を持った人ならメンテナンスが可能であるのが理想です。製造業は持続していくのが前提なので属人化は避けるべきです。

 

  1. ファイルが複数できやすい

同じファイルが同時に使用できないエクセルは、同じファイルが複数できやすい性質を持っています。同じファイルを立ち上げようとした場合、2人目以降は、最初から使っていた人(Aさんとします)に言ってファイルを閉じてもらうか、同時に「読み取り専用」として編集する(Bさん)ことになります。

Aさんが編集したファイルと、Bさんが編集したファイルは、すでに違うファイルです。こうやって、最初は同じファイルを使っていたとしても、属人化したファイルが複数できていきます。そのうち混乱するのは目に見えているでしょう。

 

  1. 詳細なアクセス制限が一括してつけられない

エクセルには、詳細なアクセス制限が、一括してつけられません。個人的なセキュリティ対策としてのアクセス制限はあるのですが、「課長以上」や「工程担当者だけ」といった制限はできず、セキュリティ上不安が残ります。

 

  1. 作成者にしかマクロやVBAがわからないことが多い

属人化する原因にもなるのですが、生産管理システムを構築するためには、複雑化された関数が必要になります。この関数の考え方がルール化されておらず、作成者にしか、考えの流れがわからないのです。パズルのように熟練者が紐解いていけば、仕様の把握は可能ですが、時間がかかります。

システムが動かない間、生産は管理されず記録も残せません。そうすれば、生産管理システム自体の意味がなくなり、データ自体の信頼性が低下してしまいます。また「作業者が後から入力」することになれば、入力漏れも発生しやすくなります。

 

  1. データの蓄積ができない

エクセルには、いわゆる「作業ログ」を残す機能がついていません。生産管理システムは、「いつ、どこで、だれが、なにを」作業したのかの履歴管理が欠かせませんから、エクセルファイルであれば、作業ごと、ロットごとなどで印刷が必要になります。そして、何か問題が発生したらファイルを見直すために紙媒体を保管する方式がとられることになります。ファイルの保管場所も必要ですし、情報漏洩のリスクも高まります。

 

  1. 入力文字の制限が難しく検索できなくなることがある

エクセルシートのソート機能は、全角と半角を区別します。このため、入力文字を制限しようと、「ドロップダウンリスト」がよく使われます。項目の追加・削除などの可能性を考えると、参照用のリストを作成する一般的です。専用リストについて項目の追加・削除がある場合、今度は参照するセル範囲を指定し直すのが面倒で煩雑になります。

製造業では消費者のニーズにあわせて、原材料や製品名までも頻繁に更新されます。その場合、いちいちすべてのデータを選びなおすのは、手間がかかるうえ間違いも起きやすく、リスクがあります。

 

  1. ファイルが変更されやすい/削除される/動かないリスクがある

エクセルは表計算ソフトですから、どのセルも触れるつくりです。触れないように表示を工夫しても、ときどきファイルの変更や削除といった事故がおきます。

確実にデータが保管されないリスクがあるエクセルは、製造業全体を統括しデータ更新が頻繁におこなわれる生産管理システムには不向きです。

そして、エクセルでつくったシステムは、複雑に作られていればいるほどバージョンアップに対応できません。

デジタル化の時代にはバージョンアップは必須です。

また最初から生産管理システムを作るには、相当な気力が必要でしょう。バージョンアップのたびに、そんなことを続けていると、担当者の労賃だけでも相当のものになります。

 

生産管理はエクセルよりシステムがおすすめ

生産管理システムなら、無理をしてエクセルで作成するより、システムを導入する方が簡単です。システムならエクセルで生産管理システムを構築する際のデメリットはすべて帳消しにできます。そして、セキュリティ対策もでき、人件費を含めればコスト安になる場合が多いでしょう。

また、近年製造業にも導入されてきているクラウド型であれば、容量不足の心配も不要になります。

 

まとめ

生産管理システムは、データの相互のかかわりが多く、製造業全体を制御しているシステムです。なんでもエクセルで作ろうとする方は、生産管理システムもエクセルで作ろうとするかもしれませんが、おすすめできません。

エクセルで生産管理システムを作成することで、余計に時間が必要になり、属人化が進んでしまうからです。

世の中には、使いやすいシステムが数多くつくられているのに、エクセルにしがみつけば、企業自体が時代遅れになっていきます。

製造業に特化した生産管理システムも発売されていますので、製造業におすすめです。たとえば、製造業専門クラウド型生産管理システム「鉄人くん」は、製造業に特化した生産管理システムも発売されていますので、製造業におすすめです。たとえば、製造業専門クラウド型生産管理システム「鉄人くん」は、生産管理システムだけでなく、販売管理システムも製造業用にパッケージされています。

クラウド型で初期費用がかかりませんので、エクセルシステム構築、トラブル対応、修復対応を実施する技術者の人件費よりも、ランニングコストは安いはずです。

エクセルで生産管理システムに苦労しているなら、一度検討してみてはいかがでしょうか?

また、トライアルキャンペーンも実施していますので、生産管理システムの導入を検討してみたいとお考えの方は、こちらからお気軽にお問合せ・ご相談ください。

 

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